「穴あき式」の考え方

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Author

司馬 博文

Published

1/21/2024

例題1

\[43-\Box{}+28=56\]

全部で2ステップで考える.

1 数字の数を減らす

まずは式を簡単にすることを考える.

\[ 43-\Box{}+28=56 \]

\(43+28=71\) を先に計算して,

\[ 71-\Box{}=56 \tag{1}\]

と簡単にできる.

この時点でもう \(\Box{}\) の値は解るかも知れないが,ここでは次の一手を講じてみる.

2 両辺に同じものを足し引きする

式 (1) の両辺から \(56\) を引くと,\(71-56=15\) だから, \[ 71-\Box{}-56=56-56 \] \[ 15-\Box{}=0 \]

と計算できる.もうすぐに \(\Box{}=15\) が判る.

3 (隠し手)

式 1\(71-\Box{}=56\) の状態から「両辺に \(\Box{}\) を足す」と考えると,

\[ 71=56+\Box{} \]

となる.両辺から \(56\) を引くと,

\[ 15=\Box{} \]

を得る.慣れたらこれの方が速いけど,「\(\Box{}\) なんていう数字じゃない存在を,足し引きしても良いのか?」という疑問が出てきて,納得がいかないようならば,この方法は使わない方が良い.

実際,文字式(方程式)の考え方は SAPIX の指導要領に反する.

けど,開成の先生は,そういう(小学校の指導要領に含まれていない)解法を用いた場合でも,減点するなんてことはあり得ない,と漏らしている先生もいる(数学の清水先生).

4 応用

例題2

\[3+\Box{}-17=16\]

4.1 全く同じ方法でやってみると

Step 1 「数字の数を減らす」を実行しよう.\(3-17=-14\) だから,

\[ -14+\Box{}=16 \]

続いて,Step 2 両辺に \(14\) を足すと, \[ -14+\Box{}+14=16+14 \] \[ \Box{}=30. \]

この最初の \(-14\) というのが受け入れられないかもしれない.実際,「負の数」という単元は中学1年生の範囲であるようだ.そこで,これを回避するために,Step 2Step 1 を逆にする.

4.2 負の数を回避する

「両辺に同じものを足し引きする」Step 2 を先取りして,先に両辺に \(17\) を足しておくと,

\[ 3+\Box{}-17+17=16+17 \] \[ 3+\Box{}=33 \]

になる.もう殆どわかるが,厳密にやると,両辺から \(3\) を引いて, \[ 3+\Box{}-3=33-3 \] \[ \Box{}=30. \]