A Blog Entry on Bayesian Computation by an Applied Mathematician
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リサンプリングと粒子フィルターは \((\Omega,\mathcal{F},\operatorname{P})\) 上に定義されているとし,この確率測度 \(\operatorname{P}\) に関する期待値を \(\operatorname{E}\) で表す.
一方で,観測対象は \((\Omega',\mathcal{F}',\operatorname{P}')\) 上の過程 \(z:\mathbb{R}_+\times\Omega'\to\mathbb{R}^d\) とする.
2つの分布の間の関係を導く.
1 リサンプリング
1.1 形式化
積空間 \([N]^{[N]}\) を 附番の空間 といい,元を \(a\in[N]^{[N]}\) で表す.
積空間 \(\mathbb{R}_+^N\setminus\{0\}^N\) を 荷重の空間 といい,元を \(w\in\mathbb{R}_+^N\setminus\{0\}^N\) で表す.簡単のため,以降は \(\mathbb{R}_+^N\) とも表してしまう.ノルム \[ \|w\|_1:=\sum_{i=1}^Nw_i \] を考える.
以降,\(\mathcal{M}^1([N]^{[N]})\) は全変動ノルムが備わったノルム空間と見る.これは,写像の空間 \(\mathrm{Map}([N]^{[N]},\mathbb{R}_+)\) に各点収束の位相が備わった空間と同一視できる.
1.2 荷重が一様になる極限でも安定なリサンプリング法
1.2.1 モチベーション
リサンプリング法 \(r:\mathbb{R}_+^N\to\mathcal{P}([N]^{[N]})\) に対して,荷重が一様に近づく(=殆どリサンプリングをしなくなっていく)極限における性質を,連続関数 \[ \begin{align*} e:\mathbb{R}_+^N\times(0,1)&\to \mathbb{R}_+^N\\ (v,\Delta)\quad&\mapsto e^{-\Delta v}:=(e^{-\Delta v^1},\cdots,e^{-\Delta v^N}) \end{align*} \] を通じて調べる: \[ \widetilde{r}(v,\Delta):=r\circ e(v,\Delta)=r(e^{-\Delta v}). \]
\(v\in\mathbb{R}_+^N\) が大雑把に方向を意味し,\(\Delta>0\) が \(0\) に近づくほど荷重が一様に近づくようなつまみの役割を果たす.
\(\Delta\) をタイムステップとも考えると,粒子フィルターに \(\Delta\searrow0\) の極限が存在するためには,リサンプリング回数が爆発しないために, \[ \widetilde{r}(v,\Delta)(a)=O(\Delta)\quad(v\in\mathbb{R}_+^N,a\ne\mathrm{id}_{[N]}) \tag{1}\] が成り立つ必要がある.
1.2.2 リサンプリング安定性の定式化
条件 (1) が成り立つことは, \[ \iota(v,\Delta):=\frac{r(e^{-\Delta v})}{\Delta}\quad\in\mathcal{M}^1([N]^{[N]}). \] により定まる関数 \[ \iota:\mathbb{R}_+^N\times(0,1)\to\mathcal{M}^1([N]^{[N]}) \] が,任意の \(a\in[N]^{[N]}\setminus\{\mathrm{id}_{[N]}\}\) に関して \(\Delta\searrow0\) に関する極限 \(\lim_{\Delta\searrow0}\iota(v,\Delta)\) を持つことに同値.
ここで,このリサンプリング強度関数 \[ \iota:\mathbb{R}^N_+\times(0,1)\to\mathcal{M}^1([N]^{[N]}) \] は連続になるとする.これはリサンプリング法 \(r:\mathbb{R}_+^N\to\mathcal{P}([N]^{[N]})\) が連続ならば成り立つ. 2
すると結局,条件 (1) は,\(\iota\) が連続な延長 \[ \overline{\iota}:\mathbb{R}_+^N\times[0,1)\to\mathcal{M}^1([N]^{[N]}\setminus\{\mathrm{id}_{[N]}\}) \] を持てば十分.3
これは \(r\) が連続であることに加えて,上の収束が \(v\in\mathbb{R}_+^N\) 上一様に成り立つならば,成り立つ.
\(\overline{\iota}(v):=\overline{\iota}(v,0)\) は 極限リサンプリング強度 であり,総和を取ったもの \[ \begin{align*} \overline{\iota}^*(w)&:=(\overline{\iota}(w,0)|1)\\ &=\sum_{a\in[N]^{[N]}\setminus\{\mathrm{id}_{[N]}\}}\overline{\iota}(w,0)(a)\quad\in\mathbb{R}_+ \end{align*} \] は 全リサンプリング率 と呼べる.4
2 粒子フィルターの構成
この \(D_{\mathbb{R}^d}(\mathbb{R}_+)\) 上の Feynman-Kac 測度を,離散時間粒子フィルターがどこまで近似できるかを考える.
- 任意の単調減少列 \(\{\Delta_n\}\subset\mathbb{R}^+\) に対して,粒子フィルターの列 \[ \{X^{\Delta_n}\}\subset\mathcal{L}(\Omega;D_{M_{Nd}(\mathbb{R})}(\mathbb{R}_+)) \] は一様に緊密である.
References
Footnotes
(Dudley, 2002, p. 389) 演習11.1.2.↩︎
\(\mathcal{P}([N]^{[N]})\) 上の弱位相は,質量関数の各点収束に同値.よって,任意の附番 \(a\in[N]^{[N]}\) に対して,\(r(e^{-\Delta w})(a)\in[0,1]\) が連続であることに同値.つまり,\(a\in[N]^{[N]}\) の通りにリサンプリングされる確率が,荷重 \(w\in\mathbb{R}_+^N\) の変化に対して連続的に変化することを要請している.↩︎
ただしもちろん,\(r\) が連続,または \(\iota\) が連続であるという仮定の下で.↩︎
ただし,\((\overline{\iota}(w,0)|1)\) の \(1\) は \([N]^{[N]}\setminus\{\mathrm{id}_{[N]}\}\) 上の定値関数とした.↩︎
(杉浦光夫, 1980, p. 305) 定理13.3 など.↩︎
その結果,任意の \(a\in[N]^{[N]}\setminus\{\mathrm{id}_{[N]}\}\) に関して,\(\mathbb{R}^{dN}\ni x\mapsto\overline{\iota}(V(x^1,\cdots,x^N))(a)\) が有界連続になる.↩︎