確率過程の離散化

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1/09/2024

概要
確率過程の離散化に関する漸近論的な結果を,Brown 運動を例に取り示す.

(Jacod and Protter, 2012) 第1章参考.

参照過程は Brown 運動 \((W_t)_{t\in\mathbb{R}_+}\) のスケーリング \[ X=\sigma W,\quad(\sigma>0) \] であるとする.

1 正規化汎函数 \(V^{'n}(f,X)\)

1.1 \(t\in\mathbb{R}_+\) 毎の収束

\(\Delta^n_iX\;(i=1,2,\cdots)\) は独立同分布であるが,正規化を施したことにより, \[ \frac{\Delta^n_iX}{\sqrt{\Delta_n}}=\frac{X_{i\Delta_n}-X_{(i-1)\Delta_n}}{\sqrt{\Delta_n}}\sim\mathrm{N}(0,c) \] も離散化の段階 \(n=0,1,\cdots\) に依らず独立同分布である.よって, \[ f\left(\frac{\Delta^n_iX}{\sqrt{\Delta_n}}\right)\sim(\rho_c(f),\rho_c(f^2)-\rho_c(f)^2) \] を踏まえて,独立同分布列に対する0次と1次の漸近定理から \[ V^{'n}(f,X)_t\overset{\text{p}}{\to}t\rho_c(f) \] \[ \frac{V^{'n}(f,X)_t-t\rho_c(f)}{\sqrt{\Delta_n}}\overset{\text{d}}{\to}\mathrm{N}\biggr(0,t(\rho_c(f^2)-\rho_c(f)^2)\biggl) \] が言えそうである.

  1. 0次の漸近論で概収束は示せない.

1.2 \(\mathbb{R}_+\) 上の過程としての収束

\(\mathbb{R}_+\) で添字付けられた過程として,\(D(\mathbb{R}_+)\) 上の Skorohod 位相について確率収束する.すなわち,任意の \(t\in[0,T]\) に対して, \[ \sup_{s\le t}\lvert Z^n_s-Z_s\rvert\overset{\text{p}}{\to}0. \] 加えて,汎函数中心極限定理から, \[ \left(\frac{1}{\sqrt{\Delta_n}}(V^{'n}(f,X)_t-t\rho_c(f))\right)_{t\ge0}\overset{\text{d}}{\to}\sqrt{\rho_c(f^2)-\rho_c(f)^2}B. \] が Skorohod 位相に関して成り立つ.これはさらに安定収束もするのである.

2 非正規化汎函数 \(V^n(f,X)\)

正規化を施さないために,\(\Delta^n_iX\;(i=1,2,\cdots)\)\(0\) に漸近していき,関数 \(f\)\(0\) での局所的な振る舞いが収束に影響を与えるようになる.

References

Jacod, J., and Protter, P. (2012). Discretization of processes. Springer Berlin, Heidelberg.