前稿
Zig-Zag サンプラーについては次の記事も参照:
A Blog Entry on Bayesian Computation by an Applied Mathematician
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1 ベイズ階層多ハザードモデル
1.1 多ハザードモデルの表現力
Polyhazard model もハザード関数をモデリングするが,
仮に
1.2 ベイズ階層多ハザードモデル
(Hardcastle et al., 2024) では HTA への応用を念頭に,完全なベイズ階層多ハザードモデルの推定を試みている.
1.2.1 第1階層
各個別要因
式 (2) で残っているパラメータ
以降,
1.2.2 第2階層
前者はモデルのサイズについて Beta-二項分布を仮定することに等価である (3.1 節 Ley and Steel, 2009).後者は (Gelman, 2006), (Polson and Scott, 2012) の推奨の通りである.
1.2.3 上の事前分布
実はまだ第一階層のパラメータが残っている.ハザードの数
ここでは Weibull 分布
ハイパーパラメータ
2 PDMP によるベイズ競合リスク分析
2.1 はじめに
前節で定義されたモデルのパラメータ空間
基本的には
加えて
2.2 の Zig-Zag サンプリング
polyhazard model の標準的なサンプラーには Gibbs サンプラーや NUTS サンプラーがあり得るが,いずれも複数の次元の間を飛び回れるように拡張するには,空間の間の跳躍をうまく設計する必要がある.
この点で Zig-Zag サンプラーは従来のサンプリング法と対等であるが,今回の設定には多峰性の懸念も存在する.
というのも,
多峰性への対処という点では,Zig-Zag サンプラーに軍配が上がるはずである (Andrieu and Livingstone, 2021).
2.3 ハイパーパラメータ のサンプリング
一方でこの条件付き構造は Gibbs サンプラーの発想で有効に利用したいものである.これには Zig-Zag within Gibbs (Sachs et al., 2023) を用いることができる.
この方法によれば,ハイパーパラメータ
2.4 変数選択 のサンプリング
一般にベイズ変数選択は
しかし各
しかし Zig-Zag サンプラーでは
この際
2.5 のサンプリング
ここでは birth-death-swap 過程を用いる.というのも,3つの Poisson 点過程
取り替えは必ずしも必要がないが,これの追加により多峰性の問題 2.2 が解決され,サンプラーの収束が改善されるという.
birth-death 過程は次の詳細釣り合い条件を満たせば良い:
この方法は Zig-Zag within Gibbs (Sachs et al., 2023) の Gibbs 核を,(Green, 1995) の超次元跳躍核に取り替えていることに等しい.