1 集合
A Blog Entry on Bayesian Computation by an Applied Mathematician
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ここでは,あらゆる数学概念は,ZFC公理系 の下で集合として定義する.1 記号 \(:=\) は「右辺によって左辺を定義し,その結果等号が成り立つ」という主張の略記である.2
1.1 集合
空集合 を \[ \emptyset:=\{x\mid x\ne x\} \] で表す.3
\(A,B\subset X\) の 差 を \[ A\setminus B:=\left\{a\in A\mid a\notin B\right\} \] で表す.
全体集合 \(X\) が明白であるとき,補集合を \(A^\complement:=X\setminus A\) とも表す.
非交和 \(A\sqcup B\) とは,\(A\cup B\) と同じ数学的対象であるが,同時に \(A\cap B\) という事実も主張するものとする.5
対称差 を \[ A\triangle B:=(A\setminus B)\sqcup(B\setminus A) \] で表す.6
有限集合 \(X\) の元の数を \(\lvert X\rvert\) または \(\#X\) で表す.7 即ち,\(\#:P(X)\to[0,\infty]\) を 計数測度 とする.
\(X\) の部分集合 \(A\) が有限であることを \(A\overset{\text{finite}}{\subset}X\) とも略記する.
特に全体集合 \(\Omega\) が確率空間をなすとき,条件 \(P\) を満たすという 事象 \[ A:=\left\{\omega\in\Omega\mid P(\omega)\right\} \] を \(\left\{P\right\}\) とも表す.8
例えば,\(X\in\mathcal{L}(\Omega)\) を実確率変数,\(A\in\mathcal{B}(\mathbb{R})\) を Borel 集合とすると, \[ \left\{X\in A\right\}=\left\{\omega\in\Omega\mid X(\omega)\in A\right\} \] という略記を用いる.
1.2 構成
自然数 を \[ 0:=\emptyset,\quad 1:=\{0\}=0\cup\{0\}, \] \[ 2:=\{0,1\}=1\cup\{1\}, \] \[ n+1:=n\cup\{n\}, \] によって帰納的に定義する.9
自然数の集合を表すため,次の記法を用意する:10 \[ [n]:=\{1,\cdots,n\}=n+1\setminus1. \]
\(\mathbb{R}_+\) で 非負実数 の全体,11 \(\mathbb{R}^+\) で 正実数 の全体がなす集合を表す: \[ \mathbb{R}_+=[0,\infty),\quad\mathbb{R}^+=(0,\infty). \]
部分集合 \(\mathbb{Z},\mathbb{Q}\subset\mathbb{R}\) や \(\overline{\mathbb{R}}:=[-\infty,\infty]\) についても同様.特に \(\mathbb{N}:=\mathbb{Z}_+\).12
実数 \(x\in\mathbb{R}\) に対して,その整数部分を \[ \lfloor x\rfloor:=\max\{n\in\mathbb{Z}\mid n\le x\} \] と表す.13
次の演算規則を約束する:14 \[ \prod_\emptyset=1,\quad\sum_{\emptyset}=0. \]
\(0!=1\) とする.
\(n\)-組 を次のように帰納的に定める:15 \[ (x_1,x_2):=\{\{x_1\},\{x_1,x_2\}\}, \] \[ (x_1,\cdots,x_n):=(x_1,(x_2,\cdots,x_n)). \]
自然数の組を表すため,次の記法を用意する:16 \[ 1:N:=(1,\cdots,N). \]
数学的対象 \(X_1,\cdots,X_N\) の組を \[ X_{1:N}:=(X_1,\cdots,X_N) \] と表す.17
1.3 写像
\(X,Y\) を集合,\(f:X\to Y\) を写像とする.
引数のプレイスホルダーとして \(-\) や \(\cdot\) を用い,\(f(-),f(\cdot)\) などと表す.
写像 \(f\) の 値域 を \[\mathrm{Im}\,f:=f(X)\] で表す.
\(A\subset X\) の 像 を \(f(A)\) で表し,これが集合であることを特に明示する際は \(f_*(A)\) とも表す.19
\(f_*\) は部分集合 \(A\subset X\) を像 \(f(A)\subset Y\) に対応させる写像 \[ f_*:P(X)\to P(Y)\] と定義する.
同様に写像 \(f^*:P(Y)\to P(X)\) を定める: \[ f^*(B)=f^{-1}(B)\quad(B\subset Y). \]
部分集合 \(A\subset X\) の 指示関数 といった場合は \[ \sigma_A:=0\cdot1_A+\infty\cdot1_{A^\complement} \] を表す.21
写像 \(f:X\to Y\) の全体がなす集合を \(Y^X\) または \(\mathrm{Map}(X,Y)\) で表す.22
写像 \(f:X\to Y\) のうち,有限個の元を除いて \(f(x)=0\) を満たすものがなす全体を \[ Y^{(X)}:=\left\{f\in Y^X\mid f=0\;\;\text{f.e.}\right\} \] と表す.23
\(P(X)\) を \(2^X\) と同一視する.特に,\(X\) の有限部分集合の全体を \[ 2^{(X)}=\left\{A\in P(X)\:\middle|\: A\overset{\text{finite}}{\subset}X\right\} \] と表す.24
全射 を \(f:X\twoheadrightarrow Y\),単射 を \(f:X\hookrightarrow Y\) で強調して表すことがある.25
全単射 が特に特定の圏での 同型射 でもある場合 \(f:X\overset{\sim}{\to}Y\) と強調して表すことがある.
積空間 \(\prod_{i\in I}X_i\) からの 第 \(i\) 射影 を \[ \mathrm{pr}_i:\prod_{i\in I}X_i\twoheadrightarrow X_i \] で表す.26
\(x\in X\) での 評価写像 を \[ \mathrm{ev}_x:Y^X\twoheadrightarrow Y \] で表す.27
写像 \(I\ni i\mapsto X_i\) を 族 とも呼び,\((X_i)_{i\in I}\) と表す.
しかしこの写像の値域も 族 と呼び,この場合は \[\{X_i\}_{i\in I}:=\mathrm{Im}\,(X_i)_{i\in I}\] と表す.28
特に \(I=\mathbb{N}\) のときは 列 ともいう.\(I\overset{\text{finite}}{\subset}\mathbb{N}\) のときは組と同一視する.29
1.4 圏
集合の圏 を \(\mathrm{Set}\) で表す.
\(\mathrm{id}_X\) で集合 \(X\) 上の 恒等写像 \[ \mathrm{id}_X(x)=x\quad(x\in X) \] を表す.30
確率空間と確率核の圏を \(\mathrm{Stoch}\) で表す.31
圏 \(C\) の対象 \(X,Y\in C\) の間の 射 の全体を \(\mathrm{Hom}_C(X,Y)\) で表す.32
特に \[ Y^X=\mathrm{Map}(X,Y)=\mathrm{Hom}_\mathrm{Set}(X,Y). \]
圏 \(C\) の対象 \(X\in C\) の自己射の全体を \[ \mathrm{End}_C(X):=\mathrm{Hom}_C(X,X) \] で表す.
そのうち可逆なもののなす部分集合を \(\mathrm{Aut}_C(X)\) で表す.集合 \([n]\) の 置換群 は \(\mathrm{Aut}_\mathrm{Set}([n])\) と表せる.
1.5 関数
\(R\) を環とする.\(f_1,f_2\in R^X\) に対して, \[ (f_1+f_2)(x):=f_1(x)+f_2(x), \] \[ (f_1f_2)(x):=f_1(x)f_2(x) \] で定める演算により \(R^X\) も環とみなし,定値関数 \(f\equiv a\in R\) を \(R\) の元と同一視する.33
束 \(L\) の元 \(a,b\) に対して,上限と下限を \[ a\lor b:=\sup\{a,b\}, \] \[ a\land b:=\inf\{a,b\}, \] で表す.34
\(\{\mathcal{F}_i\}_{i\in I}\) を 集合 \(X\) の元がなす \(\sigma\)-代数の族とすると,これらの合併が生成する \(\sigma\)-代数を \[ \bigvee_{i\in I}\mathcal{F}_i:=\sigma\left(\bigcup_{i\in I}\mathcal{F}_i\right) \] と表す.35
\(0\) を持つ束においては次の略記を使う:36 \[a_+:=a\lor0,\] \[a_-:=-(a\land 0).\]
順序集合 \(Y\) に値を取る関数 \(f,g\in\mathrm{Map}(X,Y)\) について,\(f\le g\) とは \[ \forall_{x\in X}\;f(x)\le g(x) \] の略記とする.
同じ条件を,一階の量化記号 \(\forall\) を省略して \[ f(x)\le g(x)\quad(x\in X) \] または \(f\le g\) とも略記する.
\(Y\) が束であるとき,この順序により関数の空間 \(\mathrm{Map}(X,Y)\) は束となり,演算 \(\land,\lor\) が定まる.
関数の列 \(\{f_n\}\subset Y^X\) について,\(f_n\nearrow f\) とは,収束 \(f_n\to f\) だけでなく,\(\{f_n\}\) が単調増加であることも含意する.37
関数 \(g:\mathbb{R}\to\mathbb{R}\) に対して \[ O(g(x))\;(x\to x_0)\] とは,条件 \[ \limsup_{x\to x_0}\left|\frac{f(x)}{g(x)}\right|<\infty \] を満たす関数 \(f:\mathbb{R}^+\to\mathbb{R}\) の全体とする.38
ただし,\(O(g)\) はその任意の元を表すとして, \[ f(x)=O(g(x))\quad(x\to x_0) \] を \(f(x)\in O(g(x))\;(x\to x_0)\) の意味でも使う.
同様にして,\(f(x)=o(g(x))\;(x\to x_0)\) を \[ \lim_{x\to x_0}\frac{f(x)}{g(x)}\to0 \] を満たすこととする.
2 空間
本サイトでの主な舞台は,Banach 空間としての線型・距離・位相構造と,測度空間の構造とを持った空間である.
2.1 位相
\((X,\mathrm{Op}(X))\) を 位相空間 とする.39
点 \(x\in X\) の(開集合とは限らない) 近傍 のフィルター を \(\mathcal{O}(x)\) で表す.40
集合 \(A\subset X\) について,\(A^\circ\) で 内部,\(\overline{A}\) で 閉包,\(\partial A:=\overline{A}\setminus A^\circ\) で 境界 を表す.
\(U\in\mathrm{Op}(X)\) を \(U\overset{\mathrm{open}}{\subset}X\) とも表す.
閉集合 \(F\overset{\textrm{closed}}{\subset}X\) とコンパクト集合 \(K\overset{\textrm{cpt}}{\subset}X\) も同様の略記を用いる.
\(n\)-単体 を \[ \Delta^n:=\left\{x\in(\mathbb{R}_+)^{n+1}\:\middle|\:\sum_{i=0}^nx^i=1\right\} \] で表す.
2.2 線型空間
体 \(\mathbb{F}\) の元を成分に持つ \((m,n)\)-行列の全体を \(M_{mn}(\mathbb{F})\) で表す.41
\(n\)-次の実対称行列の全体を \(S_n(\mathbb{R})\) で表す.42 \(S_n(\mathbb{R})_+\) で半正定値なものの全体を表す.43
対角成分に \(d_1,\cdots,d_n\) を持つ \(n\)-次正方行列を \[ \mathrm{diag}(d_1,\cdots,d_n):=\begin{pmatrix}d_1&\cdots&0\\ \vdots&\ddots&\vdots\\0&\cdots&d_n\end{pmatrix} \] とも表す.44
行列 \(A\in M_{mn}(\mathbb{F})\) の転置を \(A^\top\) で表し,45 共役転置を \(A^*\) で表す.46 \(\mathbb{F}=\mathbb{C}\) の場合は \(A^\top=A^*\).
対称行列 \(A,B\in S_n(\mathbb{C})\) に関して,\(A\ge B\) とは,\(A-B\) が半正定値であることとする.47
\(\mathbb{F}\)-線型空間 \(X\) の部分集合 \(A,B\subset X\) と数 \(\lambda\in\mathbb{F}\) について, \[ \begin{align*} A&+B\\ &\quad:=\left\{a+b\in X\mid a\in A,b\in B\right\},\\ \lambda &A:=\left\{\lambda a\in X\mid a\in A\right\}, \end{align*} \] と表す.48
集合 \(A\subset X\) が生成する部分空間を \[ \langle A\rangle:=\sum_{x\in A}\mathbb{F}x \] で表す.50
内積を \((-|-)\) で表す.51
行列 \(A,B\in M_{mn}(\mathbb{C})\) の Hilbert-Schmidt 内積を52 \[ \begin{align*} (B \,|\,A)_\mathrm{HS}&:=\operatorname{Tr}(A^*B)\\ &=\sum_{i=1}^m\sum_{j=1}^na_{ij}b_{ij} \end{align*} \] Hilbert-Schmidt ノルム を \[ \|A\|_{\mathrm{HS}}:=\lvert A\rvert:=\sqrt{(A|A)_\mathrm{HS}} \] で表す.53
2.3 Banach 空間
任意の集合 \(J\) に関して,\(\mathbb{R}\) の Banach 空間としての \(l^p\)-直和 を \(l^p(J)\) で表し,ノルムを \(\|-\|_p\) で表す.54 \(J=\mathbb{N}\) のとき,単に \(l^p\) とも表す.
特に \(J\) が有限であるとき, \[ \|x\|_p=\left(\sum_{j\in J}\lvert x_j\rvert^p\right)^{1/p}\quad(x\in\mathbb{R}^{\lvert J\rvert}) \] となり,\(p=2\) の場合は \(\lvert x\rvert:=\|x\|_2\) とも表す.55
特に,\(l^\infty(J)\) 上で \(J\) 上の有界な関数全体の集合を表す.56
距離空間 \((T,d)\) の 開球 を \[ \begin{align*} U_\epsilon(t)&:=U(t;\epsilon)\\ &:=\left\{s\in T\mid d(s,t)<\epsilon\right\} \end{align*} \] で表す.57
閉球 を \(B_\epsilon(t)=B(t;\epsilon)\) で表す.58
単位閉球を \(B:=B(0;1)\) で表す.
\(\mathbb{R}^n\) のものである場合は特に \(B^n\) とも表す.59
\(\mathbb{R}^n\) の標準基底を \[ e_i=(0,\cdots,0,1,0,\cdots,0) \] と表す.60
Banach空間 \(X\) の双対空間 \(X^*\) のものは \(B^*\) とも表す.61
集合 \(A\subset T\) と \(\epsilon>0\) に対して,その \(\epsilon\)-開近傍を \[ A_\epsilon:=\left\{x\in T\mid d(x,A)<\epsilon\right\} \] で表す.62
以降も,ある記号 \(\mathcal{F}\) に関して \(\mathcal{F}(x;y)\) と表される記法は, \(\mathcal{F}_y(x)\) として理解できる数学的対象の別記法と捉えられるように設計する.63
2.4 可測空間
集合族 \(\mathcal{A}\subset P(X)\) が生成する \(\sigma\)-代数を \(\sigma(\mathcal{A})\) で表す.64
集合の族 \(\mathcal{A}\subset P(X)\) 上の関数 \(\mu:\mathcal{A}\to[0,\infty]\) に対して, \[ \begin{align*} \mu^*(A)&:=\inf\biggl\{\sum_{n=1}^\infty\mu(A_n)\in[0,\infty]\:\bigg|\\ &\qquad\qquad\{A_n\}\subset\mathcal{A},A\subset\bigcup_{n=1}^\infty A_n\biggr\} \end{align*} \] を 外測度 という.65
測度空間 \((X,\mathcal{A},\mu)\) において,\(\mathcal{A}\) の \(\mu\) による Lebesgue 完備化 を \[ \mathcal{A}_\mu:=\left\{A\in P(X)\:\middle|\:\substack{\forall_{\epsilon>0}\;\exists_{A_\epsilon\in\mathcal{A}}\\\mu^*(A\triangle A_\epsilon)<\epsilon}\right\} \] で表し,この元を \(\mu\)-可測集合 という.66
\(\mu\)-零集合の全体を \[ \mathcal{N}(\mu):=\left\{N\in P(X)\mid \mu^*(N)=0\right\} \] で表し,\(\mu\)-零集合の補集合を \(\mu\)-充満集合 と呼ぶ.67
\(\mu\)-零集合と \(\mu\)-充満集合との全体がなす \(\sigma\)-代数を \(2:=\sigma(\mathcal{N}(\mu))\) で表す.68
\(\mu\)-可測集合 \(A\in\mathcal{A}_\mu\) に関して, \[ \mathcal{A}_\mu\cap A:=\left\{B\cap A\in\mathcal{A}_\mu\mid B\in\mathcal{A}_\mu\right\} \] 上への \(\mu\) の制限を,\(\mu|_A:\mathcal{A}_\mu\cap A\to[0,\infty]\) で表す.69
測度空間の族 \((E_i,\mathcal{E}_i,\mu_i)\) について,積集合 \(\prod_{i\in I}E_i\) 上の 積 \(\sigma\)-加法族 を \[ \bigotimes_{i\in I}\mathcal{E}_i=\sigma\left([\bigcup_{i\in I}]\mathrm{pr}_i^*(\mathcal{E}_i)\right) \] で表す.70
この上の直積測度を \(\bigotimes_{i\in I}\mu_i\) で表す.71
\(\lvert I\rvert=n,\mu_i=\mu\) の場合は \(\mu^{\otimes n}\) とも表す.
位相空間 \((X,\mathcal{O})\) 上の Borel \(\sigma\)-加法族 を \[ \mathcal{B}(X):=\sigma(\mathcal{O}) \] で表す.
\((\mathbb{R},\mathcal{B}(\mathbb{R}))\) の積空間 \(\mathbb{R}^T\) 上の積 \(\sigma\)-加法族を \(\mathcal{C}\) で表す.\((\mathbb{R}^T,\mathcal{C})\) 上の標準Gauss測度を \(\gamma\) で表す.72
\(\ell_n\) は \(\mathbb{R}^n\) 上の Lebesgue 測度 を表す.73 \(\gamma_n:=\mathrm{N}(0,1)^{\otimes n}\) は 標準 Gauss 測度 を表す.
2.5 確率空間
\((\Omega,\mathcal{F},\mathrm{P})\) を標準的な 確率空間 とする.74 よって,明示せずとも,確率変数 \(X\) と言ったときは \(\mathcal{L}(\Omega,\mathcal{F},\mathrm{P})\) の元とする.
Polish 確率空間 と言ったとき,Polish 空間 \(E\) 上の Borel 可測空間 \((E,\mathcal{B}(E))\) 上の確率空間を指す.75
期待値作用素を \[\operatorname{E}:L(\Omega)\to[-\infty,\infty]\] で表す.76
期待値作用素と確率測度の引数は \[\operatorname{E}[X],\quad\operatorname{P}[X\in A]\] と角括弧内に記する.77
確率変数 \(X\in\mathcal{L}(\Omega)\) と事象 \(A\in\mathcal{F}\) に関して,次の略記を用いる: \[ \operatorname{E}[X,A]:=\operatorname{E}[X1_A]=\int_AX(\omega)\operatorname{P}(d\omega). \]
分散と共分散は \(\mathrm{V}[X],\mathrm{C}[X,Y]\) と表す.78
確率変数 \(X\in\mathcal{L}(\Omega;\mathcal{X})\) による測度 \(\operatorname{P}\) の 押し出し を \[\operatorname{P}^X:=X_*\operatorname{P}\in\mathcal{P}(\mathcal{X})\] で表し,これを \(X\) の 分布 という.79
この関係を \(X\sim\operatorname{P}^X\) とも表す.
確率変数 \(X\) の分布 \(\operatorname{P}^X\) を \(\mathcal{L}[X]\in\mathcal{P}(\mathcal{X})\) とも表す.80
2つの確率変数 \(X,Y\in\mathcal{L}(\Omega)\) の分布が等しいとき,\(X\overset{\text{d}}{=}Y\) とも表す.81
確率変数 \(X:\Omega\to\mathcal{X},Y:\mathcal{X}\to\mathcal{Y}\) について,\(Y(X)\) によって合成関数 \(Y\circ X:\Omega\to\mathcal{Y}\) を表す.
なお,確率変数,推定量,統計量とは,確率空間上の可測関数の,特定の意図を持った別名称に他ならない.83
3 核
空間を導入した次は,その射を定義せねばなるまい.
本節では,\((E,\mathcal{E})\) を 可測空間 とする.84
3.1 測度
符号付き測度 とは,可算加法的な関数 \[\mu:\mathcal{E}\to[-\infty,\infty]\] であって, \[\{\pm\infty\}\subset\mathrm{Im}\,(\mu)\] が起こらないものをいう.この全体を \(\mathcal{S}(E)\) で表す. 85
有界な符号付き測度の全体を \[ \mathcal{S}^1(E)=\left\{\mu\in\mathcal{S}(E)\mid\|\mu\|_\mathrm{TV}<\infty\right\} \] で表す. 86
測度 の全体を \(\mathcal{M}(E):=\mathcal{S}(E)_+\) で表す.87 有界な測度の全体を \(\mathcal{M}^1(E):=\mathcal{S}^1(E)_+\) で表す.
\(S^1(E),M^1(E)\) などとイタリック体を用いた場合,\(\mathcal{S}^1(E),\mathcal{M}^1(E)\) のうち Radon 測度のなす部分空間を表す.88
\(E\) を位相空間とする.有界な符号付き Borel 測度の列 \(\{\mu_i\}\subset\mathcal{S}^1(E,\mathcal{B}(E))\) の 弱収束 を,\(\mu_i\Rightarrow\mu\) とも表す.89
この弱位相に関する ペアリング \((-|-):\mathcal{S}^1(E,\mathcal{B}(E))\times C_b(E)\to\mathbb{R}\) を \[ (\mu|f):=\int_Ef(x)\mu(dx) \] または単に \(\mu f\) で表す.90
3.2 確率分布
可測空間 \((E,\mathcal{E})\) 上の 確率測度 の全体を \(\mathcal{P}(E,\mathcal{E})\) と書く.\(E\) が位相空間であるとき,Borel 確率測度の全体を \(\mathcal{P}(E)\) と略記する.91
\(E\) を位相空間とする.\((E,\mathcal{B}(E))\) 上の Radon 確率測度 の全体を \[P(E)\subset\mathcal{P}(E)\] で表す.92
2つの確率分布 \(\mu,\nu\in\mathcal{P}(E)\) の カップリング の全体を \[ C(\mu,\nu):=\left\{\pi\in P(E^2)\:\middle|\:\substack{(\mathrm{pr}_1)_*\pi=\mu,\\(\mathrm{pr}_2)_*\pi=\nu.}\right\} \] で表す.93
\(d\)-次元 正規分布 を \[\mathrm{N}_d(\mu,\Sigma)\in\mathcal{P}(\mathbb{R}^d)\] で表す.94 その密度は \[ \phi_d(x;\mu,\Sigma):=\frac{d \mathrm{N}_d(\mu,\Sigma)}{d \ell_d}(x) \] で表す.
集合 \(A\subset\mathbb{R}^d\) 上の 一様分布 を \[\mathrm{U}(A)\in\mathcal{P}(\mathbb{R}^d)\] で表す.
確率変数 \(X\sim\nu\in\mathcal{P}(\mathbb{R}^d)\) の 分布関数 を \[ \begin{align*} F_X(a)&:=F_\nu(a)\\ &:=\operatorname{P}[X_1\le a_1,\cdots,X_d\le a_d]\\ &\quad(a=a_{1:d}\in\mathbb{R}^d) \end{align*} \] で表す.
\(d=1\) のとき,その一般化逆を \[ F^-_\nu(u):=\inf\left\{x\in\mathbb{R}\mid F_\nu(x)\ge u\right\} \] \[ (u\in(0,1)^d) \] で表す.96
3.3 確率核
確率核 は可測空間の射となる基本的な対象である.\((E,\mathcal{E}),(F,\mathcal{F})\) を可測空間とする.
核 \(T:E\to F\) とは,次の2条件を満たす写像 \(T:E\times\mathcal{F}\to[0,\infty]\) をいう:97
- \(\{T(x,-)\}_{x\in E}\subset\mathcal{M}(F)\).
- \(\{T(-,A)\}_{A\in\mathcal{F}}\subset\mathcal{L}(E)\).
核 \(T:E\times\mathcal{F}\to[0,\infty]\) が 有界 であるとは, \[ \sup_{x\in E}\lvert P(x,F)\rvert<\infty \] を満たすことをいう.98 すなわち,写像 \(E\to M^1(F)\) が有界な像を持つことをいう.99
\(\{P(x,F)\}_{x\in E}=\{1\}\) を満たす有界核 \(P\) を 確率核 または Markov核 という. 100
\(F\) が 可分距離空間上の確率空間であるとき,確率核 \(P:E\to F\) とは可測写像 \(T:E\to\mathcal{P}(F)\) に等価である.ただし,\(\mathcal{P}(F)\) は弱収束の位相による Borel 可測空間と考える.101
核 \(T\) の符号付き測度の空間 \(\mathcal{S}(E)\) への右作用 \(\cdot T:\mathcal{S}(E)\to\mathcal{S}(F)\) を \[ \begin{align*} &(\mu T)(A)\\ &\qquad:=\int_E\mu(dx)T(x,A),\\ &\qquad\qquad(A\in\mathcal{F}), \end{align*} \] で定める.
核 \(T\) の可測関数の空間 \(\mathcal{L}(F)\) への左作用 \(T\cdot:\mathcal{L}(F)\to\mathcal{L}(E)\) を \[ \begin{align*} &(Tf)(x)\\ &\qquad:=\int_FT(x,dy)f(y),\\ &\qquad\qquad (x\in E), \end{align*} \] で定める.102
核 \(T:E\to F,S:F\to G\) の 合成 \(T\otimes S:E\to F\times G\) を \[ \begin{align*} &(T\otimes S)(x,A\times B)\\ &\qquad:=\int_AT(x,dy)S(y,B),\\ &\qquad\qquad(x\in E,A\in\mathcal{F},B\in\mathcal{G}), \end{align*} \] で定める.103
核 \(T:E\to F,S:F\to G\) の 積 \(TS:E\to G\) を \[ \begin{align*} (TS)(x,B)&:=(T\otimes S)(x,F\times B)\\ &=\int_FT(x,dy)S(y,B)\\ &\qquad(x\in E,B\in\mathcal{G}), \end{align*} \] で定める.104
3.4 関数の空間
関数・確率変数と言った場合,断りがない限り \(\mathbb{R}\)-値のものを考える.
可測空間 \((E,\mathcal{E})\) 上の 可測関数 の全体を \(\mathcal{L}(E)=\mathcal{L}(E,\mathcal{E})\) と書く.106
\((E,\mathcal{E})\) の Lebesgue 完備化 \(\mathcal{E}_\mu\) に関して可測な関数を \(\mu\)-可測関数 といい,その全体を \(\mathcal{L}(\mu)=\mathcal{L}(E,\mathcal{E}_\mu)\) と書く.107
部分 \(\sigma\)-代数 \(\mathcal{F}\subset\mathcal{E}\) について,\(\mathcal{F}\)-可測なもののなす部分集合を \(\mathcal{L}_\mathcal{F}(E)=\mathcal{L}(E,\mathcal{F})\) と表す.
測度空間 \((E,\mathcal{E},\mu)\) において,\(\mu\) に関して殆ど至る所で等しい関数を同一視して得る商空間を \(L(\mu)=L(E,\mathcal{E},\mu)\) と書く.108
この規則は任意の Lebesgue 空間 \(L^p(\mu)\) で同じである.
\(p\in[1,\infty]\) に関して,\(L^p(E)\) のノルム を \(\|-\|_p\) で表す.
\((T,d)\) を距離空間,\(\gamma\in(0,1]\) とする.\(T\) 上の \(\gamma\)-Hölder 連続関数 の全体を \(\mathrm{Lip}^\gamma(T,d)\) で表す.109 \(\gamma=1\) の場合はこれを省略して単に \(\mathrm{Lip}(T,d)\) と書く.
その 半ノルム を \[ \|f\|_{\mathrm{Lip}^\gamma}:=\sup_{x\ne y}\frac{\lvert f(x)-f(y)\rvert}{d(x,y)^\gamma} \] と定める.110
Lipschitz 定数が \(c\) 以下になる関数のなす部分集合を \[ \begin{align*} &\mathrm{Lip}_c(T,d)\\ &:=\left\{f\in\mathrm{Lip}(T)\mid\|f\|_\mathrm{Lip}\le c\right\} \end{align*} \] で表す.111
有界 \(\gamma\)-Hölder 連続関数のなす空間 \(\mathrm{Lip}_b^\gamma(T,d)\) のノルムを \[ \|f\|_{\mathrm{Lip}_b^\gamma}:=\|f\|_{\mathrm{Lip}^\gamma}+\|f\|_\infty \] で定める.\(\gamma=1\) の場合,\(\|f\|_\mathrm{BL}\) とも表す.112
\(T\) を位相空間とする.\(T\) 上の連続関数の全体を \(C(T)\) で表す.
\(E\) を可微分多様体とする.\(k\in\mathbb{N}^+\cup\{\infty\}\) 回連続微分可能な関数がなす \(C(E)\) の部分空間を, \[ C^k(E):=\left\{f\in C^k(E)\:\middle|\:\substack{ f\;\text{は}\;k\;\text{回微分可能}\\\forall_{1\le l\le k}\;f^{(l)}\in C(E)}\right\} \] を表す.
さらに \(C_b^k(E),C_c^k(E),C_p^k(E)\) と表した場合は,その \(k\) 回までの導関数も同様に \(C_b,C_c,C_p\) に含まれるとする.113
\(E\) は距離空間でもあるとする.\(\gamma\in(0,1]\) に対して,\(k\) 階連続微分可能で,全ての \(k\) 回までの導関数も有界で \(\gamma\)-Hölder 連続な関数のなす \(C^k_b(E)\) の部分空間を \(C^{k,\gamma}(E)\) で表し,ノルムを \[ \begin{align*} \|u\|_{C^{k,\gamma}(E)}&:=\sum_{\lvert\alpha\rvert\le k}\|D^\alpha u\|_\infty\\ &\qquad+\sum_{\lvert\alpha\rvert=k}\|D^\alpha u\|_{\mathrm{Lip}^\gamma} \end{align*} \] で定める.\(C^{k,\gamma}(E)\) を Hölder 空間 と言う.114
イタリック体のものが Banach 空間(の部分集合)に,カリグラフィー体のものがより一般的なものになるように注意している.115
3.5 作用素
\(\mathcal{F}(E)\subset\mathbb{R}^E\) は \(L(E), C(E)\) などの関数空間の一般形とし,\(X,Y\) をノルム空間とする.
測度空間 \((E,\mathcal{E},\mu)\) 上の関数空間 \(\mathcal{F}(E)\) に対して,文脈により \(\mathcal{F}(\mu)\) とも \(\mathcal{F}(E,\mathcal{E},\mu)\) とも表す.
任意の関数空間 \(\mathcal{F}(E)\) に対して,値域の空間が \(\mathcal{X}\) であるとき,これを強調して \(\mathcal{F}(E;\mathcal{X})\) または \(\mathcal{F}_\mathcal{X}(E)\) とも表す.省略する場合は \(\mathcal{X}=\mathbb{R}\) の場合に限る.116
任意の関数空間 \(\mathcal{F}(E)\) に対して,
- 有界なもののなす部分空間を \(\mathcal{F}_b(E)\) で表す.
- コンパクト台を持つもののなす部分空間を \(\mathcal{F}_c(E)\) で表す.117
- 有界かつ一様連続なもののなす部分空間を \(\mathcal{F}_u(E)\) で表す.118
- 高々多項式増大なもののなす部分空間を \(\mathcal{F}_p(E)\) で表す.119
- 非負値のもののなす錐を \(\mathcal{F}(E)_+:=\mathcal{F}(E;\mathbb{R}_+)\) で表す.120
- 正値なもののなす部分集合を \(\mathcal{F}(E)^+:=\mathcal{F}(E;\mathbb{R}^+)\) で表す.121
\(X\) 内の作用素 \(T:X\supset\mathcal{D}(T)\to Y\) と言ったとき,ある \(X\) の部分空間 \(\mathcal{D}(T)\) 上で定義された作用素 \(T:\mathcal{D}(T)\to Y\) を指すこととする.123
有界作用素の全体を \(B(X,Y)\) で表す.124 \(B(X):=B(X,X)\) とする.
連続作用素の全体を \(L(X,Y)\) で表す.125
4 解析
核の概念は近年データ解析や計算統計にも広く応用されているが,元来は解析学において重要な役割を果たす.
4.1 微分作用素
\(u\) を \(\mathbb{R}^n\) のある開集合上に定義された十分滑らかな関数とする.
\(\mathbb{R}^n\) 上の関数 \(u\) の偏導関数を \[ u_{x_i}:=\partial_iu:=\frac{\partial u}{\partial x_i} \] でも表す.126
\(\mathbb{N}^n\) の元 \(\alpha\in\mathbb{N}^n\) を 多重指数 といい,その位数を \[ \lvert\alpha\rvert:=\|\alpha\|_1=\alpha_1+\cdots+\alpha_n \] で表す.127
\(u\) を \(\mathbb{R}^m\)-値関数とする.自然数 \(k\in\mathbb{N}\) に対して,\(D^ku:=(D^\alpha u)_{\substack{\alpha\in\mathbb{N}^n\\\lvert\alpha\rvert=k}}\) を,\(k\) 階の微分 \[ D^\alpha u=(D^\alpha u^1,\cdots,D^\alpha u^m), \] \[ D^\alpha u^i:=\frac{\partial ^{\lvert\alpha\rvert}u^i}{\partial x_1^{\alpha_1}\cdots\partial x_n^{\alpha_n}}, \] の族とする.128
特に \(k=1\) のとき,Jacobi 行列 または 勾配行列 \[ Du=\begin{pmatrix}u^1_{x_1}&\cdots&u^1_{x_n}\\\vdots&\ddots&\vdots\\u^m_{x_1}&\cdots&u^m_{x_n}\end{pmatrix} \] と同一視する.129 \(m=1\) のとき, \[ \operatorname{grad}u:=\nabla u:=(Du)^\top=\begin{pmatrix}\frac{\partial u}{\partial x_1}\\\vdots\\\frac{\partial u}{\partial x_n}\end{pmatrix} \] とも表す.
発散 を \[ \operatorname{div}u:=\nabla\cdot u:=\operatorname{Tr}(Du)=\sum_{i=1}^n\frac{\partial u}{\partial x_i} \] で表す.130
\(u\) が正方行列 \(M_n(\mathbb{R})\)-値であった場合,行成分毎の適用 \[ \operatorname{div}u:=\begin{pmatrix}\operatorname{div}(u_{1-})\\\vdots\\\operatorname{div}(u_{n-})\end{pmatrix} \] と解する.
\(k=2\) かつ \(m=1\) のとき,\(D^2u\) を Hesse 行列 \[ \nabla^2u:=\begin{pmatrix}u_{x_1x_1}&\cdots&u_{x_1x_n}\\\vdots&\ddots&\vdots\\u_{x_nx_1}&\cdots&u_{x_nx_n}\end{pmatrix} \] と同一視する.131
\(\mathbb{R}^n\) 上の Laplace 作用素 (Laplacian) を \[ \mathop{}\!\mathbin\bigtriangleup u:=\sum_{i=1}^n\partial_i^2u=\operatorname{Tr}(D^2u) \] で定める.
4.2 Fourier 変換
Heaviside の階段関数 \(H:\mathbb{R}\to2\) を \[ H(x):=1_{[0,\infty]} \] で表す.132
関数 \(f,g\) の 畳み込み を \[ (f_1*f_2)(x):=\int_\mathbb{R}f_1(t)f_2(x-t)\,dt \] で表す.
4.3 超関数
4.4 確率解析
- \(E,F\) を可微分多様体とする.2変数関数 \(f:E\times F\to\mathbb{R}\) について,
\[\begin{align*} C^{1,2}(E\times F)&:=\bigg\{f:E\times F\to\mathbb{R}\;\bigg|\:\substack{\forall_{y\in F}\;f(-,y)\in C^1(E)\\\forall_{x\in E}\;f(x,-)\in C^2(F)}\bigg\} \end{align*}\]
と表す.136
5 過程
確率過程の概念は初め解析学と深く結びついて発展した.その後,確率論と統計学,そして物理学などの自然科学や社会科学の分野で,重要なモデリングの道具としても広く使われるようになった.
5.1 確率変数の収束
確率変数列 \(\{X_n\}\subset\mathcal{L}(\Omega;E)\) が,\(X\in\mathcal{L}(\Omega;E)\) に
- 確率収束することを \(X_n\overset{\text{p}}{\to}X\) と表す.
- 法則収束することを \(X_n\overset{\text{d}}{\to}X\) または \(X_n\Rightarrow X\) で表す.137
確率変数列 \(\{X_n\}\subset\mathcal{L}(\Omega)\) が 一様に緊密 であることを \[ X_n=O_p(1) \] とも表す.138
さらに確率変数列 \(\{R_n\}\subset\mathcal{L}(\Omega)\) について, \[ X_n=O_P(R_n) \] であるとは,ある一様に緊密な列 \(\{Y_n\}\subset\mathcal{L}(\Omega)\) が \[ X_n=Y_nR_n \] と表せることをいう.
同様にして, \[ X_n= o_P(R_n) \] であるとは,ある \(0\) に確率収束する列 \(\{Y_n\}\subset\mathcal{L}(\Omega)\) が存在して \[ X_n=Y_nR_n \] と表せることをいう.
5.2 確率基底
(確率)過程 と言ったとき,共通の確率空間 \((\Omega,\mathcal{F},\operatorname{P})\) を定義域に持ち,値域 \(E\) も共通とする確率変数の族 \(\{X_t\}_{t\in T}\subset\mathcal{L}(\Omega;E)\) を指すこととする.139
確率過程 \(\{X_t\}_{t\in T}\subset\mathcal{L}(\Omega;E)\) が積空間 \(E^T\) に定める写像 \[ X_-:\Omega\to E^T \] を 転置 と呼ぶ.140
関数 \(f:\mathbb{R}\supset T\to\mathcal{X}\) が 第一種不連続 であるとは,常に左極限を持つ右連続関数であることをいい,このような関数の全体を \(D(T;\mathcal{X})\) で表す.141
\(x\in D_E(T)\) について,左極限を \[ x(t-):=\lim_{s\nearrow t}x(s) \] と表し,跳躍の大きさを \[ \Delta x(t):=x(t)-x(t-) \] で表す.142 ただし,\(x(0-)=x(0)\) とする.143
確率空間 \((\Omega,\mathcal{F},\operatorname{P})\) 上の 情報系 \((\mathcal{F}_t)_{t\in\mathbb{R}_+}\) とは,右連続性 \[ \mathcal{F}_t=\mathcal{F}_{t+}:=\bigcap_{s>t}\mathcal{F}_s \] を満たす増大系 \(\mathcal{F}_s\subset\mathcal{F}_t\;(s\le t)\) をいう.144
加えて, \[ \mathcal{F}_{t-}:=\bigvee_{s<t}\mathcal{F}_s,\quad(t\in\overline{\mathbb{R}}_+), \] と表す.145
確率空間 \((\Omega,\mathcal{F},\operatorname{P})\) とその上の情報系 \((\mathcal{F}_t)_{t\in\mathbb{R}_+}\) からなる 4-組 \((\Omega,\mathcal{F},(\mathcal{F}_t),\operatorname{P})\) を 確率基底 という.
確率基底が 完備 であるとは, \[ \mathcal{N}(\operatorname{P})\subset\mathcal{F}_0 \] を満たすことをいう.146
5.3 可測性
5.4 停止時148
確率基底 \((\Omega,\mathcal{F},(\mathcal{F}_t),\operatorname{P})\) 上の 停止時 とは,同じ確率空間 \(\Omega\) 上の可測関数 \(T:\Omega\to[0,\infty]\) であって, \[ \left\{T\le t\right\}\in\mathcal{F}_t,\qquad t\in\mathbb{R}_+, \] も満たすものをいう.149
停止時 \(T\) までの 情報 とは, \[ \mathcal{F}_T:=\left\{A\in\mathcal{F}_\infty\mid\forall_{t\in\mathbb{R}_+}\;A\cap\left\{T\le t\right\}\in\mathcal{F}_t\right\} \] で定まる \(\sigma\)-代数をいう.
終わりに
本サイトの記法で筆者が最も注意することは,あらゆる記法を背後の数学的消息と調和するように定義するということであった.
これにあたり,あらゆる 数学的対象 を集合から構成する立場を取る一方で,理解するにあたっては 集合と写像(または関手)とを厳密に峻別する ということを徹底することを大事にした.
例えば集合の合併と共通部分に \(\cap,\cup\) を用いること,直和と直積に \(\coprod,\prod\) を用いることは,圏論的な双対性を視覚的に認識しながら数学的議論を進めるためである.(斎藤毅, 2009, p. 37) にも詳しく解説されている.
記法の開発は数学の重要な一部であると筆者は信じているのである.
References
Footnotes
(Del Moral and Penev, 2014), (Helemskii, 2006), (MacKay, 2003, p. 600) に一致する.\(\equiv,\overset{\text{def}}{=}\) などもよく用いられる.(Crisan and Doucet, 2002), (Smith, 2010) では \(\overset{\triangle}{=}\) も用いられる.ここでは,これらの左右対称な記号は避けた.また,\(=_{\text{df}}\) などを使うものもある (Quine and Szczotka, 1994).↩︎
(Shoenfield, 1967, p. 243), (新井敏康, 2011, p. 2) の定め方に一致する.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 13) の記法に一致する.この定義と存在は公理から直ちに従う nLab.このときの \(P\) も関手である.関手が,対象 \(S\) に作用していると読めるように設計された記法である nLab.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 10) は \(A\coprod B\) と表す.(伊藤清三, 1963) は \(A+B\) と表す.↩︎
有限集合については \(\mathrm{Card}\,(X)\) とも混用される,(Gerber et al., 2019) など.↩︎
(Dellacherie and Meyer, 1978) に倣った.一般に測度論において \(\left\{f<c\right\}:=\left\{x\in X\mid f(x)<c\right\}\) などのように略記される.このような集合 \(A\) の存在自体は分出公理により導かれ,分出公理は通常ZF公理系の置換公理から導かれる (新井敏康, 2011, p. 119).通常 \(\left\{\omega\mid P(\omega)\right\}\) によって定義される数学的対象をクラスと呼び,集合を定めるとは限らないとして区別される:ラッセルの逆理 が例を与える (新井敏康, 2011, p. 117).↩︎
(von Neumann, 1923) による定義である.(斎藤毅, 2009, pp. 15–16), Wikipedia とも一致する.↩︎
(Chopin et al., 2022), (Srinivasan, 2001) なども採用している.↩︎
(Jacod and Protter, 2012), (Le Gall, 2016), (鎌谷研吾, 2020, p. 106), (Helemskii, 2006, p. 2), (Jacob, 2001) の記法に一致する.(Evans, 2010, p. 698) では同じ記法で正実数の全体を意味する.↩︎
この運用は (Jacod and Protter, 2012) に一致する.記法 \(\mathbb{N}\) は (Villani, 2009), (Jacob, 2001) などでは正整数の全体 \(\mathbb{N}=\left\{1,2,3,\cdots\right\}\) と定められている.(Jacod and Shiryaev, 2003) も \(\overline{\mathbb{R}}_+=[0,\infty]\) としている.↩︎
(Jacod and Protter, 2012) では \([x]\) で表される.↩︎
(Del Moral and Penev, 2014, p. xlviii), (Del Moral, 2004, p. 10) の定義に一致する.これは \(\prod_{i\in\emptyset}X_i\) が一点集合で,\(\coprod_{i\in I}X_i\) が空集合である消息の一般化と見れる.なお,集合 \(X\) の部分集合の空な族 \((X_i)_{i\in\emptyset}\) は存在し,それは \(\mathrm{Map}(\emptyset,X_i)\) のただ一つの元である.↩︎
(Kuratowski, 1921) による定義である.(Shoenfield, 1967, p. 243), (新井敏康, 2011, p. 118), (斎藤毅, 2009, pp. 定義1.3.1 p.15) の定め方に一致する.また \(n\)-組を英語では tuple と呼ぶが,全く同じ対象をリスト (list) とも呼ぶ nLab Concept with an Attitude.↩︎
(Chopin and Papaspiliopoulos, 2020), (Chopin et al., 2022) などが採用している.↩︎
これは組 \((X_1,\cdots,X_N)\) が定める \(X:[N]\ni i\mapsto X_i\) という写像があった際,この写像の積 \(\prod_{i\in[N]}X\) による \(1:N\) の像を \(X_{1:N}\) と略記する,という意味である.↩︎
(新井敏康, 2011, p. 119) などでは,\(f\restriction_A\) とも表す.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 43), (斎藤毅, 2020, p. 12) に従った.対応 \(f\mapsto f_*\) は共変関手 \(P_*:\mathrm{Set}\to\mathrm{Set}\) を定める.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 25), (Evans, 2010, p. 700) などでは \(\chi_A\) と表す.↩︎
(Brezis, 2011, p. 14) の使い分けに倣った.支持関数は英語で indicator function という (Beck, 2017, p. 14) 例2.1,(寒野善博,土谷隆, 2014, p. 110),(Ekeland and Témam, 1999, p. 8).↩︎
これは配置集合とも言う.\(Y^X\) は (松坂和夫, 1968, p. 38), (Giné and Nickl, 2021) に,\(\mathrm{Map}(X,Y)\) は (斎藤毅, 2009, p. 26) に倣った.(新井敏康, 2011, p. 120) は \({}^XY\)と表す.↩︎
(斎藤毅, 2007, pp. 例1.4.7 p.20) に従った.また f.e. とは with a finite number of exceptions の略で,「有限個の例外を除いて成り立つ」という意味である (伊藤清, 1991, p. 124).↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 179) では \(F(X)\) と表記している.↩︎
nLab に倣った.本来はエピ射とモノ射を表す記法であるが,ここでは集合の圏 \(\mathrm{Set}\) に限ることとする.↩︎
(Billingsley, 1999), (Ethier and Kurtz, 1986), (Jacob, 2001) などは \(\pi_i\) で表す.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 27) では値写像と訳している.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 26) に倣った.この混用については p.35 で触れられている.これが集合をなすのは,ZF公理系のうちの置換公理による (新井敏康, 2011, p. 118).↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 37) にも詳しく解説されている.このような態度は concept with an attitude という.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 25), (Jacob, 2001) に倣った.(Villani, 2009) では \(\mathrm{Id}\) で表す.↩︎
(Fritz, 2020, p. 19), (Perrone, 2024) など.Markov圏の稿 も参照↩︎
nLab の記法に一致する.(斎藤毅, 2020, p. 7) では \(\mathrm{Mor}_C(X,Y)\) と表す.↩︎
(Del Moral, 2004, p. 7) も参照.↩︎
(Del Moral and Penev, 2014, p. xlvii), (V. I. Bogachev, 2007, p. 277) 4.1.(i) に一致する.(V. I. Bogachev, 2007, p. 277) では lattice を structure ともいう.↩︎
(Dellacherie and Meyer, 1978), (伊藤清, 1991, p. 137) に倣った.↩︎
(Jacob, 2001) など,\(a^+,a^-\) を用いる流儀もある.↩︎
(Jacob, 2001) に一致.↩︎
nLab に従った.\(O\) は写像 \(\mathbb{R}^\mathbb{R}\to P(\mathbb{R}^\mathbb{R})\) を定める.(Carmer, 1946, p. 122), (Jacod and Protter, 2012), (Del Moral and Penev, 2014, p. xlvii), (Evans, 2010, p. 704) に一致.↩︎
\(\mathrm{Op}:\mathrm{Top}\to\mathrm{Cat}\) は関手とみれる.(斎藤毅, 2020) 定義4.2.1 p.106, 定義7.1.1 p.192,category of open subsets.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 8) 1.2.4 に倣った.(V. I. Bogachev and Smolyanov, 2017) は \(\Phi_\tau^x\) で表す.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 86), (斎藤毅, 2007, p. 13), (Villani, 2009) に従った.(Evans, 2010, p. 697) では \(\mathbb{M}^{m\times n}\) で表す.↩︎
(斎藤毅, 2007, p. 19) に一致する.(Evans, 2010, p. 697) では \(\mathbb{S}^n\) と表す.↩︎
(Rogers and Williams, 2000, p. 110) V.1.3 では \(S_n^+\) の記法が用いられている.↩︎
(Evans, 2010, p. 697) に一致する.↩︎
(MacKay, 2003, p. 599) に一致する.(吉田朋広, 2006) などは転置を \(A'\) で表す.(斎藤毅, 2009, p. 86) では \({}^t\!A\) と表す.(Evans, 2010, p. 697) は \(A^T\).↩︎
随伴行列ともいう (斎藤毅, 2009, p. 87).↩︎
(Evans, 2010, p. 698) に一致する.↩︎
(Jacob, 2001) などが触れている.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 67) は \(\operatorname{conv}(A)\) で表す.(Conway, 2007, p. 101), (寒野善博,土谷隆, 2014) は \(\operatorname{co}(A)\) と表す.↩︎
(斎藤毅, 2007, p. 33) に倣った.(Jacob, 2001) などは \(\operatorname{lin}(A)\) で表す.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 80) に倣った.(Conway, 2007, p. 2) では \(\langle x,y\rangle\) で表されるが,(Lang, 1995, p. 343) によるとこれは von Neumann の 1950 年代のセミナーでの記法であったという.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 119) は \((-|-)_{\text{tr}}\) で,(Evans, 2010, p. 697) は \(A:B\) で表す.特に,古典力学や有限要素法の文献においては,二項積 の間の演算である二重点乗積を \(:\) で表したことから,この記法が用いられる.二項積については (Abraham et al., 1988, p. 341) も参照.↩︎
\(\|A\|_\mathrm{HS}\) は (Villani, 2009, p. XVII) に,\(\lvert A\rvert\) は (Evans, 2010, p. 697) に倣った.これは Frobenius ノルムともいう.Hilbert-Schmidt ノルムは,一般の Hilbert 空間上の有界作用素に関して定義される.(Pedersen, 1989, p. 119) は \(\|-\|_2\) で表す.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 50) に倣った.↩︎
(Evans, 2010, p. 699), (Jacob, 2001, p. xvi), (Bakry et al., 2014, p. xv) に倣った.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 50) に一致する.(Giné and Nickl, 2021, p. 17) は \(\ell_\infty(J)\) で表す.↩︎
(斎藤毅, 2009, p. 75) に従った.(Rudin, 1991, p. 4), (Jacob, 2001) では \(B_r(t)\) で表す.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 44), (Evans, 2010, p. 699) に倣った.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 41) など.↩︎
(Evans, 2010, p. 698) に一致.↩︎
(Boucheron et al., 2013) に倣った.ここでは \(t\)-blowup と呼んでいる.(Giné and Nickl, 2021, p. 27) では \(d(x,A)\le\epsilon\) と定義しているが,我々は同じものを \(\overline{A_\epsilon}\) で表すこととする.(Dudley, 2002, p. 393), (V. I. Bogachev, 2007, p. 192) では \(A^\epsilon\) で表し,(Dudley, 2002, p. 407) は閉集合バージョンを \(A^{\delta]}\) で表す.↩︎
すなわち, \(\mathcal{F}(x;y)\) という記法は,\(y\) は写像(あるいは関手) \(\mathcal{F}\) のパラメータ付けをする添字として理解する数学的対象,\(x\) は写像(あるいは関手)の引数として理解する数学的対象として峻別する.↩︎
(Billingsley, 1999) は \(\sigma[\mathcal{A}]\) や \(\sigma[\pi_t:t\in T]\) とも表す.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 17) 定義1.5.1, (Dudley, 2002, p. 89) に倣った.(A. W. van der Vaart and Wellner, 2023, p. 6) では 外確率 という.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 17) 定義1.5.1, (Vladimir I. Bogachev and Smolyanov, 2020, p. 64) に倣った.この \(\mathcal{A}_\mu\) は \(\mathcal{A}\lor\mathcal{N}(\mu)\) と \(\mathcal{L}_\mu:=\left\{A\subset X\mid\exists_{A_1,A_2\in\mathcal{A}}\;A_1\subset A\subset A\right\}\) に一致する上,\(\mu\) が \(\sigma\)-有限ならば \(\mathfrak{M}_{\mu^*}:=\left\{A\subset X\:\middle|\:\substack{\forall_{A_0\subset X}\;\mu^*(A\cap A_0)+\\\mu^*(A_0\setminus A)=\mu^*(A_0)}\right\}\) にも一致する (V. I. Bogachev, 2007, p. 129) 1.12.129, (Dudley, 2002, p. 102) 3.2.2-3.↩︎
full set の和訳として選んだ. (V. I. Bogachev, 2007, p. 110) では a set of full measure と表現している.\(\mathcal{N}(\mu)\) の記法は (Dudley, 2002, p. 101) に倣った.↩︎
(伊藤清, 1991, p. 137) に従った.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 23) に倣った.(V. I. Bogachev, 2007, p. 56) 1.12(iv) では \(\mathcal{A}_A\) とも表し,trace \(\sigma\)-algebra とも呼ぶという.(Dellacherie and Meyer, 1978) では \(\mu|_A\) の定義域を \(\mathcal{A}|_A\) で表す.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 188), (Lang, 1993, p. 158) に従った.↩︎
このような一般的な場合の定義は (V. I. Bogachev, 2007, p. 189) 参照.↩︎
(Giné and Nickl, 2021, p. 16), (Vladimir I. Bogachev and Smolyanov, 2020, p. 171) に倣った.↩︎
(Nualart and Nualart, 2018, p. 8) に倣った.(V. I. Bogachev, 2007, p. 26), (Gerber et al., 2019) などは \(\lambda_d\) と表す.(Jacob, 2001, p. xv) は \(\lambda^{(n)}\) で表す.↩︎
(Nualart and Nualart, 2018) に倣った.(Giné and Nickl, 2021), (Dudley, 2002) では \(\mathrm{Pr}\) と表している.(Villani, 2009) などは \(\mathbb{P}\) で表す.↩︎
標準 Borel 空間 ともいう.↩︎
(Nualart and Nualart, 2018, p. 1) に倣った.(Giné and Nickl, 2021) ではイタリック体で \(E\) と表している.(Del Moral and Penev, 2014), (Dellacherie and Meyer, 1978) では \(\mathbb{E}\) を用いる.(MacKay, 2003, p. 599) では \(\mathcal{E}\) を用いる.\(\langle-\rangle\) で表すこともある.↩︎
(吉田朋広, 2006, p. 5) に倣った.筆者は \(\operatorname{E},\operatorname{P}\) のいずれも作用素と見る立場に立つためである.(Giné and Nickl, 2021) は \(E[X],\mathrm{Pr}\{X\in A\}\) と表す.(Nualart and Nualart, 2018), (伊藤清, 1991) はいずれも丸括弧である.(鎌谷研吾, 2020), (Bain and Crisan, 2009) では \(\mathbb{P}(-),\mathbb{E}[-]\) を用いている.(Del Moral and Penev, 2014) では \(\mathbb{E}(-),\mathbb{P}(-)\) を用いる.↩︎
\(V\) は (伊藤清, 1991) に,\(C\) は (Giné and Nickl, 2021, p. 66) に倣った,いずれもイタリック体を用いていたが.(吉田朋広, 2006, p. 23), (鎌谷研吾, 2020), (Del Moral and Penev, 2014, p. xlvii) は代わりに \(\mathrm{Var},\mathrm{Cov}\) を用いている.↩︎
(伊藤清, 1991, p. 125) に従った.ここでは 像測度 と 確率法則 と呼んでいる.像測度の呼び名は (V. I. Bogachev, 2007, p. 190) 3.6節, (Kechris, 1995, p. 103), (Villani, 2009) にも一致する.(V. I. Bogachev, 2007, p. 190) では \(\operatorname{P}\circ X^{-1}\),(Villani, 2009) では \(X_\#\operatorname{P}\) と表す.nLab も参照.↩︎
(Villani, 2009) は \(\mathrm{law}\,(X)\) で表す.↩︎
(Nair et al., 2022, p. 246) に一致.↩︎
これは (Dawid, 1979) が先駆けであり, Dawid notation と呼ばれる.(Del Moral and Penev, 2014, p. xlvii) は \(\perp\) を用いる.↩︎
可測空間を \((E,\mathcal{E})\) で表すのは,(Revuz, 1984),(Le Gall, 2016), (Del Moral, 2004) に倣った.↩︎
\(\mathcal{S}\) は (Nihat Ay and Schwachhöfe, 2017, pp. 第3.1節 p.121) の記法に倣った.(V. I. Bogachev, 2007), (Villani, 2009) などはこれに \(M(E)\) を用いる.符号付測度の定義は (Dunford and Schwartz, 1958, p. 95) III.1.1, (Dudley, 2002, p. 178) 5.6,(藤田宏,吉田耕作, 1991, p. 383) 定義7.1, (Halmos, 1950, p. 118) に一致する.↩︎
(Del Moral, 2004, p. 7) では \(\mathcal{M}(E)\) と表し,(Lang, 1993, p. 199) では \(M^1\),(Revuz, 1984) では \(\mathrm{b}\mathcal{M}(\mathcal{E})\),(Dunford and Schwartz, 1958) では \(ca(E,\mathcal{E})\) と表す.我々も,添字 \({}^1\) を全変動が有限であることの象徴として採用する.実際,\(\mu\)-連続な測度 \(\nu\) について,\(\|\nu\|_\mathrm{TV}=\left\|\frac{d \nu}{d \mu}\right\|_1\) である (Lang, 1993, p. 200) 定理3.3.有界かつRadonな符号付き測度を (Pedersen, 1989, p. 252) 6.5.8 は \(M(E)\) と表す.実は有限次元 Banach 空間 \(B\) について,\(B\)-値であることと有界であることは同値になる:「有界」測度と「有限」測度 を参照.\(\mathcal{S}(E;B)\) の表記は,有界性はひとまず不問として \(B\)-値測度を表す際に使うこととする.全変動ノルムの記法は (Giné and Nickl, 2021, p. 2), (Villani, 2009) に一致する.(V. I. Bogachev, 2007) は \(\|-\|\) で表す.↩︎
(Del Moral and Penev, 2014, p. xli), (Del Moral, 2004, p. 7) では \(\mathcal{M}(E)\) を有界な符号付き測度に用いている.(Jacob, 2001, p. xv) では \(\mathcal{M}^+(E)\) を測度の全体としている.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 76) では \(\mathcal{M}_r(E)\) で表す.(Dellacherie and Meyer, 1978) では,有界な Radon 測度の全体を \(\mathcal{M}_b^+(E)\) で表す.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 175) 定義8.1.1 に倣った.↩︎
(Crisan and Doucet, 2002) に一致する.(Dellacherie and Meyer, 1978) は \(\mu(f),\langle\mu,f\rangle\) のいずれも用いるとしている.↩︎
(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 347), (Crisan and Doucet, 2002), (Ethier and Kurtz, 1986, p. 96), (V. I. Bogachev, 2007, p. 228) に一致する.(Kechris, 1995, p. 109), (Villani, 2009) はイタリックで \(P(E)\) と表す.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 72) に倣った.(V. I. Bogachev, 2007, p. 76) 第7.2節 では \(\mathcal{P}_r(X)\) で表す.Radon 測度とは,内部正則性(=緊密性) \[\forall_{B\in\mathcal{B}(E)}\;\forall_{\epsilon>0}\;\exists_{K\overset{\textrm{cpt}}{\subset}B}\;\mu(B\setminus K)<\epsilon\] を満たす Borel 測度をいう (V. I. Bogachev, 2007, pp. 68–69) 定義7.1.1, 7.1.4.↩︎
(Kulik, 2018) が \(\mathcal{C}\) で表すのに倣った.(Vladimir I. Bogachev, 2018, p. 105), (Villani, 2009, p. XXI) では \(\Pi(\mu,\nu)\) で,(Ethier and Kurtz, 1986, p. 96) では \(\mathcal{M}(\mu,\nu)\) で,(Dudley, 2002, p. 420) 11.8節 は \(M(\mu,\nu)\),(Figalli and Glaudo, 2023) では \(\Gamma(\mu,\nu)\) で表す.(V. I. Bogachev, 2007, p. 235) 8.10(viii)節と (Villani, 2009, p. 95) 注6.5 に倣い,カップリングの元は Radon なものに限っている点に注意.↩︎
(竹村彰道, 2020) の記法に一致する.↩︎
Dirac 測度とも言う.(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 68), (Protter, 2005, p. 299), (Jacob, 2001) などは \(\epsilon_x\) で表す.(Protter, 2005, p. 299) は Dirac 関数を \(\delta_x\) で表す.↩︎
(Gerber et al., 2019) の記法に一致.分位点関数 (quantile function) (竹村彰道, 2020, p. 16),確率表現関数 (森口繁一, 1995) などともいう.(Dudley, 2002, p. 283) は \(X_F\) とも表している.↩︎
(Revuz and Yor, 1999, p. 79) 定義III.1.1.1,(Revuz, 1984, p. 8) 定義1.1.1.1,(Kallenberg, 2017, p. 16), (Bass, 2011, p. 154) 定義19.2, (Cho and Jacobs, 2019, p. 962) 例7.2 では kernel,(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 65),(Kolokoltsov, 2011, p. 110) 3.5節, (Klenke, 2020, p. 204) 8.3節 では transition kernel と呼んでいる.↩︎
(Kolokoltsov, 2011, p. 110) 3.5節 に倣った.(Del Moral, 2004, p. 9) は (bounded) integral operator と呼ぶ.↩︎
実は有界核は,可測写像 \(E\to M^1(F)\) と同一視出来る (Kallenberg, 2017, p. 30) 補題1.14.ただし,\(M^1(F)\) には \(\mathcal{L}_b(F)\) が生成する最小の \(\sigma\)-代数を考える.↩︎
(Crisan and Doucet, 2002, p. 737) では Markov transition kernel,(Del Moral, 2004, p. 9), (Ghosal and van der Vaart, 2017, p. 6), (Fritz, 2020) では Markov kernel,(Kolokoltsov, 2011, p. 110) 3.5節 では transition probability kernel or simply probability kernel と呼び,(Chopin and Papaspiliopoulos, 2020, p. 36) 定義4.1, (Bremaud, 2020, p. 135) 3.3.3節 では propability kernel,(Kulik, 2018, p. 25) では probability kernel としてさらに半群性も満たす族を transition probability kernels と呼ぶ.(Le Gall, 2016, pp. 151–152) は Markovian transition kernel と transition semigroup と呼ぶ.(Dellacherie and Meyer, 1988, p. 2) は Markovian kernel.(Kallenberg, 2017, p. 29) と (Hairer, 2021) では可測関数 \(E\to\mathcal{P}(F)\) と定義しており,transition kernel と呼んでしまう.(Bertsekas and Shreve, 1996, p. 134) 定義7.12 は stochastic kernel,(Giry, 1982), (Neveu, 1970) は transition probability, (Lawvere, 1962) は probabilistic mapping と呼んでいた.↩︎
(Ghosal and van der Vaart, 2017, p. 510),(Kallenberg, 2017) 補題1.14 p.30,(Hairer, 2021), (Ambrosio et al., 2008, p. 121).この事実により,\(E\) 上の(局所有限な) ランダム測度 とは,確率空間からの核 \(\Omega\to E\) に等しい (Kolokoltsov, 2010).↩︎
これにより,積分核も核であり,一般的に 積分核 (Conway, 2007, p. 29) または 核関数 (Schölkopf and Smola, 2002) などといったときは \(T\) が \(F\) 上で密度を持つ特別な場合であったことがわかる.nLab も参照.↩︎
(Kallenberg, 2017, p. 16) の呼び方に従った.(Gikhman and Skorokhod, 2004, p. 79) では 直積 と呼ばれており,p.76 定理II.4.1 でその存在が示されている.(Heng et al., 2024) では \(T=\mu\) という定値核の場合も同様の記法 \(\mu\otimes S\) を定義している.↩︎
こちらも,行列積の一般化であることを踏まえて (Kallenberg, 2017, p. 16) の呼び方に従った.(Gikhman and Skorokhod, 2004, p. 79) では 畳み込み と呼ばれている.この式は Chapman-Kolmogorov 方程式 と呼ばれるものである.そこで,Chapman-Kolmogorov 方程式は,Markov 核の族 \(\{P_t\}_{t\in\mathbb{R}_+}\) が,この積という演算について半群性を満たす,という形の条件でよく登場する.↩︎
これより,確率核 \(T:E\to F\) は,確率測度 \((1,2)\to(E,\mathcal{E})\) を \((1,2)\to(F,\mathcal{F})\) に「遷移」させているようにも思えるのである.↩︎
(Pedersen, 1989, pp. 2.1.15 p.48) に倣った.(Dudley, 2002, p. 119) や (Protter, 2005, p. 52) では \(\mathcal{L}^0(E,\mathcal{E};\mathbb{R})\) と表す.(Dellacherie and Meyer, 1978) では \(\mathcal{M}(E)\) と表し,\(\mathcal{L}_b(\mathcal{E})\) を \(b(\mathcal{E})\) と表す.↩︎
すなわち,完備化 \(\mathcal{E}_\mu\) について可測な関数の全体をいう.(V. I. Bogachev, 2007, p. 108) 定義2.1.10 では殆ど至る所定義された \(\mu\)-可測な関数の全体を \(\mathcal{L}^0(\mu)\) と表す.\(\mathcal{L}(E)\) と \(\mathcal{L}(\mu)\) の区別は,完備化 \(L(E)\) をしたあとはなくなる.↩︎
(Dudley, 2002) では \(L^0(E,\mathcal{E};\mathbb{R},\mathcal{B}(\mathbb{R}))\) と表す.とは言えども,\(L(E)\) の元を,その \(\mathcal{L}(\mu)\) の元である代表元と同一視することも多い (V. I. Bogachev, 2007, p. 262) 4.4節.(Dunford and Schwartz, 1958, p. 121) III.3.4 では関数の全体を \(L^0_p\),同値類を \(L_p\) で表す.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 51) は \(\mathrm{lip}^\gamma(T)\),(Rudin, 1987, p. 113) は \(\mathrm{Lip}\gamma\) と表す.\(\gamma=1\) の場合,(Del Moral and Penev, 2014, p. xliv) の記法に一致する.↩︎
(Evans, 2010, p. 254) では \([f]_{C^{0,\gamma}(T)}\),(Gilbarg and Trudinger, 2001, p. 52) では \([f]_{\gamma;T}\),(Pedersen, 1989, p. 51) 演習2.1.10 では \(L(f)\),(Dudley, 2002, p. 390) 11.2節 では \(\|-\|_L\),(Rudin, 1987, p. 113) 演習11 では \(M_f\) と表している.また,\(\gamma=1\)のとき, (Evans, 2010, p. 700) では \(\mathrm{Lip}[f]\) と表す.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 191) 8.3節 に倣った.↩︎
(V. I. Bogachev, 2007, p. 192) 8.3節, (Dudley, 2002, p. 390) 11.2節に従った.これにより \(\mathrm{Lip}_b(T,d)\) が Banach 代数をなすことが命題11.2.1で示されている.(Pedersen, 1989, p. 51) 演習2.1.10 によると,このノルムは \(I=[a,b]\) が区間のとき,\({\left\vert\kern-0.25ex\left\vert\kern-0.25ex\left\vert f \right\vert\kern-0.25ex\right\vert\kern-0.25ex\right\vert}:=\|f\|_\mathrm{Lip}+\lvert f(a)\rvert\) に同値.↩︎
(Evans, 2010, p. 255) に従った.↩︎
例えば,コンパクト空間 \(K\) について,Radon 確率測度全体の集合 \(P(X)\) は \(C(X)^*\) の \(w^*\)-コンパクトな凸部分集合である (Pedersen, 1989, pp. 72–73) 命題2.5.7.↩︎
\(\mathcal{F}_\mathcal{X}(E)\) という表記は (Ethier and Kurtz, 1986, p. 95) に倣った.↩︎
(Jacob, 2001) などは,コンパクト台を持つ連続関数の空間に \(C_0(E)\) を用いる.↩︎
(Giné and Nickl, 2021, p. 17), (Jacob, 2001) に倣った.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 222) と (Revuz, 1984) に倣った.(Dellacherie and Meyer, 1978) は \(\mathcal{F}(E)^+\) で表す.↩︎
このような使い分けは (Nummelin, 1984, p. 1) に一致する.↩︎
(Helemskii, 2006, p. 3) に一致する.↩︎
(藤田宏 et al., 1991, p. 103) などとは態度が違う.↩︎
(Pedersen, 1989, p. 44), (Jacob, 2001, p. xvii) に倣った.(藤田宏 et al., 1991, p. 106) では \(\mathcal{L}(X,Y)\) と表す.↩︎
(Lang, 1993, p. 65), (吉田耕作, 1995, p. 110) に倣った.↩︎
\(u_{x_i}\) は (Evans, 2010, p. 701),\(\partial_iu\) は (吉田朋広, 2006, p. 232) などに一致する.↩︎
(Evans, 2010, p. 701) に一致する.↩︎
(Evans, 2010, p. 701) に倣った.↩︎
(Evans, 2010, pp. 701–703) に倣った.↩︎
(Evans, 2010, p. 703) に倣った.↩︎
(Evans, 2010, p. 701) に倣った.↩︎
(木田良才, 2020, p. 98) 例9.5 に一致する.神経の数理モデルの文脈では,しきい関数 (threshold function) とも呼ばれる (麻生英樹 et al., 2015, p. 10).↩︎
(木田良才, 2020, p. 131) 例12.21 に一致する.(Le Gall, 2016, p. 161) では \(\operatorname{sgn}=1_{(0,\infty)}-1_{(-\infty,0]}\),(Evans, 2010, p. 700), (Jacob, 2001) では \(\operatorname{sgn}=1_{(0,\infty)}-1_{(-\infty,0)}\) と定めている(\(0\)での値が違う).↩︎
この記法は Laurent Schwartz 以来慣習的に残り続けているので,ここでもそれに従う.(Hörmander, 2003, p. 34).↩︎
(Baudoin, 2014, p. 69) 定理3.9,(Nualart and Nualart, 2018, p. 31) に一致する.↩︎
(Nualart and Nualart, 2018) などでは \(\xrightarrow{\mathcal{L}}\) でも表される.↩︎
(A. van der Vaart, 1998, p. 12) 2.2 に倣った.一様緊密性は (Le Cam, 1957) による概念である.↩︎
積空間 \((\mathcal{X}^T,\mathcal{C})\) に値を取る \(\mathcal{X}^T\)-値確率変数とみなすことに同値になる nLab.積の普遍性が成り立つためである (Kallenberg, 2021, p. 15) 補題1.9.だが \(\mathcal{X}\) が位相空間であるとき,\(\mathcal{X}^T\) の Borel \(\sigma\)-代数に \(\mathcal{B}(\mathcal{X}^T)\) ついても可測になるとは限らない.\(X_t\) の終域 \(\mathcal{X}\) が 可分距離空間で,かつ \(T\) が可算集合であるときは,\(\mathcal{B}(\mathcal{X}^T)=\mathcal{C}\) であるため,\(\mathcal{B}(\mathcal{X}^T)/\mathcal{F}\)-可測であることとも同値になる (Kallenberg, 2021, p. 11) 補題1.2.↩︎
筆者が考案した名称.族 \((X_t)_{t\in T}:T\to\mathcal{L}(\Omega)\) としての見方と転置の関係になっているところから.(伊藤清, 1991, p. 232) は 見本過程(関数) と呼び,記法 \(X_\bullet\) を採用している.(Baudoin, 2014, p. 9) は application と呼んでいる.↩︎
「第一種不連続」とは (伊藤清, 1991, p. 227) の用語.(Le Gall, 2016, p. 168) では \(\mathbb{D}(\mathcal{X})\), (Jacod and Shiryaev, 2003, p. 325) では \(\mathbb{D}(\mathcal{X})\) と表す.↩︎
(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 325), (Protter, 2005, p. 25) に倣った.↩︎
(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 3) に倣った.この結果,\(\Delta x(0)=0\) であることに注意.↩︎
フィルトレーションと言ったときに右連続性も課すのは (Jacod and Shiryaev, 2003), (Protter, 2005) に倣った.記法は (伊藤清, 1991, p. 239) に倣った.↩︎
(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 2) 定義1.2, (Bass, 2011, p. 1), (Dellacherie and Meyer, 1978, p. 114), (Revuz and Yor, 1999, p. 42) に倣った.↩︎
右連続性と完備性を併せて,フィルトレーション付き確率空間 \((\Omega,\mathcal{F},(\mathcal{F}_t),\operatorname{P})\) の 通常の条件 ともいう.(Protter, 2005, p. 3) など参照.↩︎
(Dellacherie and Meyer, 1978) 49 115-IV では 随意時刻 (optional time) とも呼んでおり,stopping time を older terminology ともしている.筆者も optional time の語がしっかり普及すれば良かったのにと思う.↩︎
(Jacod and Shiryaev, 2003, p. 4) 1.11,(Protter, 2005, p. 3) に従った.↩︎