Zig-Zag サンプラー

物理のくびきを超える MCMC

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司馬博文

総合研究大学院大学 / 統計数理研究所

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7/25/2024

概要

本郷キャンパス小島ホール第二セミナー室. スライドはこちら

1 Zig-Zag サンプラー

区分確定的 Makrov 過程を用いた,連続時間 MCMC 手法の1つ

1.1 Zig-Zag サンプラー

  • PDMP または 連続時間 MCMC と呼ばれる手法群の一つ
  • ランダムな時刻にランダムな動きをする以外は,確定的な動き

Zig-Zag サンプラーの軌跡

1.2 PDMP による MCMC / 連続時間 MCMC

PDMP (Piecewise Deterministic Markov Process,区分確定的マルコフ過程)

代表的な3つの PDMP. Animated by (Grazzi, 2020)

今回は Zig-Zag サンプラー(中央)に注目する.

1.3 PDMP / 連続時間 MCMC の美点1

Zig-Zag 過程の軌道
  • 正確なシミュレーションが可能な連続過程である.
  • シミュレーションが簡単で,次の2つだけ考えれば良い:
    • ランダムな時刻 (非一様 Poisson 点過程)
    • ランダムな変化 (Zig-Zag の場合はこれも無し)

1.4 PDMP / 連続時間 MCMC の美点2

Zig-Zag 過程の軌道
  • 軌跡自体が目標分布 \pi に従う
    • 軌跡上で線積分する or 好きな間隔で切り出してサンプルとする
  • 非対称 Metropolis-Hastings 法の scaling limit として導かれる

1.5 PDMP / 連続時間 MCMC の美点3

  1. シミュレーションが簡単(本節の残りで解説)

    PDMP:離散化誤差なしで簡単にシミュレーションできる稀有な連続過程

  2. ダイナミクスが良い(第 4 節)

    前スライドで見た通り,非対称なダイナミクスが作れる

  3. スケーラブルなサンプリング手法(第 2 節)

    全データにアクセスする必要はなく,一部で良い(サブサンプリング)

    バイアスが入らないサブサンプリングが可能 (Bierkens, Fearnhead, et al., 2019)

1.6 Zig-Zag 過程の定義

定義(Zig-Zag 過程)

Zig-Zag 過程は状態空間 E=\mathbb{R}^d\times\{\pm1\}^d 上に定義される過程 Z=(X,\Theta) である.

\Theta は速度,X は位置と解し,第一成分 X\mathbb{R}^d 上の目標分布 \pi に従うように構成される.

ランダムな時刻におけるランダムな変化(次スライド)を除いては,速度 \theta\in\{\pm1\}^d の等速直線運動をする.

すなわち,(x,\theta)\in E から出発する Zig-Zag 過程は,次の微分方程式系で定まる決定論的なフロー \phi_{(x,\theta)}:\mathbb{R}\to\mathbb{R}^d に従って運動する粒子とみなせる: \frac{d \phi_{(x,\theta)}(t)}{d t}=\theta,\qquad \frac{d \Theta_t}{d t}=0.

1.7 Zig-Zag 過程のシミュレーション

  1. 状態空間 E 上のレート関数 \lambda_1,\cdots,\lambda_d (次スライド)から定まる強度関数 m_i(t):=\lambda_i(x+\theta t,\theta),\qquad i\in[d], を持つ,d 個の独立な \mathbb{R}_+ 上の非一様 Poisson 点過程の,最初の到着時刻 T_1,\cdots,T_d をシミュレーションする.
  2. 最初に到着した成分の番号 j:=\operatorname*{argmin}_{i\in[d]}T_i について,時刻 T_j に速度成分 \theta_j の符号を反転させる.すなわち,関数 F_j(\theta)_i:=\begin{cases}-\theta_i&i=j\\\theta_i&i\ne j\end{cases} に従ってジャンプする.
  3. t=T_j までを線型に補間し,1. に戻ってくり返す.

1.8 レート関数 \lambda_i の設定

命題(Zig-Zag 過程の不変分布)

目標の分布が \pi(dx)\,\propto\,e^{-U(x)}\,dx と表せるとする.このとき,レート関数 \lambda_1,\cdots,\lambda_d:E\to\mathbb{R}_+ が,ある \theta_i のみには依らない非負連続関数 \gamma_i:E\to\mathbb{R}_+ を用いて \lambda_i(x,\theta)=\biggr(\theta_i\partial_iU(x)\biggl)_++\gamma_i(x,\theta_{-i}) と表されるならば,Zig-Zag 過程 Z=(X,\Theta) の位置成分 X\pi を不変分布に持つ.

あとはエルゴード性が成り立てば,\pi に対する MCMC として使える.

1.9 Zig-Zag 過程のエルゴード性

U\in C^3(\mathbb{R}^d) はある定数 c>d,c'\in\mathbb{R} に関して U(x)\ge c\log\lvert x\rvert-c'\qquad x\in\mathbb{R}^d を満たすならば,全変動距離に関してエルゴード性を持つ:1 \left\|P^t((x,\theta),-)-\pi\right\|_\mathrm{TV}\xrightarrow{t\to\infty}0.

\pi(x)\,\propto\,e^{-U(x)}\le C'\lvert x\rvert^c,\qquad C'>0, ということだから,ほとんどの場合成り立つ.

1.10 リフレッシュ動作 \gamma_i の意味

\lambda_i(x,\theta)=\biggr(\theta_i\partial_iU(x)\biggl)_++\gamma_i(x,\theta_{-i})

  • \gamma_i\theta_i に依らず,成分 \theta_i を変化させる頻度を定める.
  • \gamma_i\equiv0 と取った方が,Monte Carlo 推定量の漸近分散は最小になる (Andrieu and Livingstone, 2021)
  • \gamma_i だけの自由度があることが,Zig-Zag サンプラーのスケーラビリティを支えている(次節 2 参照)

1.11 到着時刻 T_j のシミュレーション

命題

強度関数 m_i を持つ Poisson 点過程の,最初の到着時刻 T_i は, M_i(t):=\int^t_0m_i(s)\,ds と指数分布する確率変数 E_i\sim\operatorname{Exp}(1) を用いて, T_i\overset{\text{d}}{=}M_i^{-1}(E_i) とシミュレーションできる.

しかしこの方法は,m_i が多項式の場合しか使えない.

1.12 剪定 (Lewis and Shedler, 1979 Poisson thinning)

命題

m\le M を2つの強度関数とする.M を強度に持つ Poisson 点過程 \eta の点 X_1,X_2,\cdots,X_{\eta([0,T])} をシミュレーションし,それぞれを確率 1-\frac{m(X_i)}{M(X_i)} で取り除く(剪定).

すると,残った点は強度 m の Poisson 点過程に従う.

Zig-Zag 過程のシミュレーションの問題は,強度関数 m_i(t)=\lambda_i(x+t\theta,\theta)=\biggr(\theta_i\partial_iU(x+t\theta)\biggl)_++\gamma_i(x+t\theta,\theta_{-i}) の多項式による上界 M_i を見つける問題に帰着される.

2 大規模データに対するベイズ推論

Zig-Zag サンプラーは,不偏なサブサンプリングにより,スケーラブルな Monte Carlo 法として使える.

2.1 従来の MCMC は大規模データに弱い.

  • Metropolis-Hastings 法

    採択-棄却のステップでは,毎度全データにアクセスする必要があり,計算量が大きい.

  • データの一部のみを使って尤度を不変推定する2

    目標分布に収束しなくなる(バイアスが導入される)

    MCMC を使う利点が失われる

2.2 大規模データに対する2つのアプローチ

1. Devide-and-conquer

データを小さなチャンクに分割し,それぞれで MCMC を回し,あとから結果を総合する.

不偏性 手法名 提案文献
WASP (Srivastava et al., 2015)
Consensus Monte Carlo (Scott et al., 2016)
Monte Carlo Fusion (Dai et al., 2019)

2.3 大規模データに対する2つのアプローチ

2. Subsampling

尤度評価(全データが必要)を,リサンプリングに基づく不偏推定量で代用する.

不偏性 手法名 提案文献
Stochastic Gadient MCMC (Welling and Teh, 2011)
Zig-Zag with Subsampling (Bierkens, Fearnhead, et al., 2019)
Stochastic Gradient PDMP (Fearnhead et al., 2024)

2.4 Zig-Zag サンプラーではバイアスを導入しないサブサンプリングが可能

Zig-Zag サンプラーは,ジャンプ強度で尤度の情報を使う:U=-\log\pi \lambda_i(x,\theta)=\biggr(\theta_i\partial_iU(x)\biggl)_++\gamma_i(x,\theta_{-i}),\qquad i\in[d], 仮に,単一のサンプル k\in[n] から計算できる量 E_k^1(x) に関して \partial_iU(x)=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^nE_i^k(x) が成り立つ場合,\partial_iU(x) を,[n]:=\{1,\cdots,n\} 上の一様サンプル K を用いて E_i^K(x),\qquad K\sim\mathrm{U}([n]) で不偏推定できる.

2.5 ZZ-SS (Zig-Zag Sampler with Sub-Sampling)

Bayes 推論の文脈では,負の対数尤度 U(x)=-\log\pi(x|\boldsymbol{y}) U(x)=-\sum_{k=1}^n\log p(y_k|x)-\log p(x),\qquad\pi(x)\,\propto\,\left(\prod_{k=1}^np(y_k|x)\right)p(x), という表示を持つ.p(x) は事前分布,y_1,\cdots,y_k がデータ. E_i^k(x):=\frac{\partial }{\partial x_i}\biggr(-n\log p(y_k|x)-\log p(x)\biggl) と定めると, \partial_iU(x)=\mathbb{E}[E_i^K(x)]\qquad K\sim\mathrm{U}([n]).

2.6 ZZ-SS (Zig-Zag Sampler with Sub-Sampling)

そこで,ランダムに定まる強度関数 m^K_i(t):=\biggr(\theta\cdot E^K_i(x+\theta t)\biggl)_+,\qquad K\sim\mathrm{U}([n]), を用いて Zig-Zag 過程をシミュレーションすることを考える.

ただし, m_i^k(t)\le M_i(t) を満たす上界 M_i が存在すると仮定する.

2.7 ZZ-SS (Zig-Zag Sampler with Sub-Sampling)

ZZ-SS アルゴリズム
  1. 代理強度関数 M_1,\cdots,M_d を持つ互いに独立な \mathbb{R}_+ 上の非一様 Poisson 点過程の到着時刻 T_1,\cdots,T_d をシミュレーションする.
  2. 最初に到着した座標番号 j:=\operatorname*{argmin}_{i\in[d]}T_i について,確率 \frac{m^K_j(T_j)}{M_j(T_j)},\qquad K\sim\mathrm{U}([n]), で時刻 T_j に速度成分 \theta_j の符号を反転させる.
  3. 1に t=T_j として戻って,繰り返す.

2.8 ZZ-SS (Zig-Zag Sampler with Sub-Sampling)

部分サンプリングにより不変分布が変わらないことの証明

ZZ-SS によってシミュレートされる過程は,レート関数 \lambda_i(x,\theta)=\mathbb{E}\biggl[\biggr(\theta_iE^K_i(x)\biggl)_+\biggr]=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(\theta_iE^k_i(x))_+ を持った Zig-Zag 過程に等しい

これは,元々のレート関数 (\theta\partial_iU(x))_+ に対して, \gamma_i(x,\theta):=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(\theta_iE^k_i(x))_+-\left(\frac{\theta_i}{n}\sum_{k=1}^nE^k_i(x)\right)_+\ge0. という項を加えて得る Zig-Zag サンプラーともみなすことができる.非負性は関数 (x)_+:=x\lor0 の凸性から従う.最後に \gamma_i(x,\theta)=\gamma_i(x,F_i(\theta)) を確認すれば良い.

これは \begin{align*} &\qquad\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\biggr(\theta_iE_i^k(x)\biggl)_+-\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\biggr(-\theta_iE_i^k(x)\biggl)_+\\ &=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\left((\theta_iE_i^k(x))_+-(-\theta_iE_i^k(x))_+\right)=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\theta_iE_i^k(x) \end{align*} であることから従う.

2.9 上界 M_i をどう見つけるか?

ランダムに定まる強度関数 m^K_i(t):=\biggr(\theta_iE^K_i(x+\theta t)\biggl)_+ に対して, \max_{k\in[n]}m^k_i(t)\le M_i(t) を満たす多項式関数 M_i を見つけないと,剪定ができず,事実上シミュレーションが不可能.

また,タイトな上界でないと,ほとんどの提案が棄却され,無駄な計算量が増してしまう.

2.10 ZZ-CV (Zig-Zag Sampler with Control Variates)

命題 (Bierkens, Fearnhead, et al., 2019) (制御変数による上界の構成)

\partial_iU(x) は Lipschitz 定数 C_i を持って Lipschitz 連続であるとする.このとき, M_i(t):=a_i+b_it a_i:=(\theta_i\partial_iU(x_*))_++C_i\|x-x_*\|_p,\quad b_i:=C_id^{1/p} と定めれば,m_i^k\le M_i が成り立つ.ただし,ランダムな強度関数 m_i^k は次のように定めた: m^k_i(t):=\biggr(\theta E_i^k(x+\theta t)\biggl)_+,\qquad x_*:=\operatorname*{argmin}_{x\in\mathbb{R}^d}U(x), E^k_i(x):=\partial_iU(x_*)+\partial_iU^k(x)-\partial_iU^k(x_*).

2.11 ZZ-CV (Zig-Zag Sampler with Control Variates)

事前処理により,事後最頻値 \widehat{x} に十分近いように参照点 x_* を選ぶ

その後は データのサイズに依存しない O(1) 計算複雑性で事後分布からの正確なサンプリングが可能

preprocessing for ZZ-CV
  1. x_*:=\operatorname*{argmin}_{x\in\mathbb{R}^d}U(x) を探索する.
  2. \partial_iU(x_*),\partial_iU^k(x_*) を計算する.

この2つはいずれも O(n) の複雑性で実行できる.

2.12 例:正規標本の平均推定

データは1次元で,分散 \sigma^2 が既知な正規分布に従うとする: Y^j\overset{\text{iid}}{\sim}\mathrm{N}(x_0,\sigma^2),\qquad j\in[n]. 事前分布を \mathrm{N}(0,\rho^2) とすると,定数の違いを除いて \begin{align*} U'(x)&=\frac{x}{\rho^2}+\frac{1}{\sigma^2}\sum_{j=1}^n(x-y^j)=\frac{x}{\rho^2}+\frac{n}{\sigma^2}(x-\overline{y}), \end{align*} であるから,U' は非有界であり,簡単な上界が見つからない.しかし, U''(x)=\frac{1}{\rho^2}+\frac{n}{\sigma^2}. は有界だから,U'\|U''\|_\infty を Lipschitz 定数として Lipscthiz 連続である.

2.13 数値実験:ZZ(サブサンプリングなし)と ZZ-CV(制御変数を用いたサブサンプリング)の比較

同じ長さの軌跡+同数のサンプルを用いて,事後平均推定量により x_0 を推定した場合の平均自乗誤差は次の通り:

横軸:単位計算量,縦軸:平均自乗誤差(点線は不正確!)

2.14 数値実験:ZZ と ZZ-CV の比較

単位計算量 (epoch):「データ n を通じた勾配の計算」を1単位とする
揃えて比較すると,たしかに効率が改善されている:

横軸:単位計算量,縦軸:平均自乗誤差

2.15 ZZ-CV がうまくいく理由

データ数 n\to\infty の極限で,事後分布は最頻値 \widehat{x} の周りに集中するため

事前処理により参照点 x_* \|x_*-\widehat{x}\|_p=O(n^{-1/2})\quad(n\to\infty) 程度の正確性で得られたならば, \|x-x_*\|_p=O_p(n^{-1/2}),\quad\partial_iU(x_*)=O_p(n^{1/2})\quad(n\to\infty) が成り立つ.このことより, M_i(t)=a_i+b_it=O_p(n^{1/2})\quad(n\to\infty) であるが,Zig-Zag 過程は O(n^{-1/2}) のタイムステップで区切って独立なサンプルとみなせるため,総じて独立なサンプルを得るための計算量は O(1)

3 ロジスティック回帰と大規模不均衡データの問題

不均衡データに対する Gibbs サンプラーは収束が無際限に遅くなるが,Zig-Zag サンプラーでは簡単なトリックで克服できる.

3.1 ロジスティック回帰

\operatorname{P}[Y=1\,|\,X,\xi]=\frac{1}{1+\exp(-X^\top\xi)}

の,事前分布 p_0(\xi)d\xi とデータ \{(x^i,y^i)\}_{i=1}^n に対する事後分布 \pi は次のように表せる:

\pi(\xi)\,\propto\,p_0(\xi)\prod_{i=1}^n\frac{\exp(y^i(x^i)^\top\xi)}{1+\exp((x^i)^\top\xi)}.

\pi は正規分布の Pólya-Gamma 複合としての構造を持つ
データ拡張による Gibbs サンプラー (Polson et al., 2013) によりサンプリング可能.

3.2 ロジットモデルはポテンシャルの勾配が有界になる

\begin{align*} U(\xi)&:=-\log p_0(\xi)-\sum_{i=1}^n\log\left(\frac{\exp(y^i(x^i)^\top\xi)}{1+\exp((x^i)^\top\xi)}\right)=:U_0(\xi)+U_1(\xi) \end{align*}

U_1(\xi)=\frac{1}{n}\sum_{j=1}^nU^j_1(\xi),\qquad U_1^j(\xi)=-n\log\left(\frac{\exp\left(y^j(x^j)^\top\xi\right)}{1+\exp\left((x^j)^\top\xi\right)}\right), \partial_iU^j_1(\xi)=n\frac{x^j_i\exp\left((x^j)^\top\xi\right)}{1+\exp\left((x^j)^\top\xi\right)}-ny^jx^j_i<nx^j_i(1-y^j). \therefore\qquad\lvert\partial_iU^j_1(\xi)\rvert\le n\max_{j\in[n]}\lvert x^j_i\rvert\qquad i\in[d].

3.3 Poisson 剪定のための上界

  1. 前スライドの評価 \lvert\partial_iU^j_1(\xi)\rvert\le n\max_{j\in[n]}\lvert x^j_i\rvert を通じて,定数のバウンド m_i(t)=\biggr(\theta_i\partial_iU(\xi+\theta_it)\biggl)_+\le\left(n\theta_i\max_{j\in[n]}\lvert x^j_i\rvert\right)_+\equiv:M_i によって Poisson 剪定をする ZZ (Global bound)
  2. 事後分布の最頻値周りへの集中を通じた,m_i の1次関数によるバウンド M_i(t):=a_i+b_it,\qquad a_i:=(\theta_i\partial_iU(\xi_*))_++C_i\lvert\xi-\xi_*\rvert, b_i:=C_i\sqrt{d},\qquad C_i:=\frac{n}{4}\max_{j\in[n]}\lvert x^j_i\rvert\lvert x^j\rvert. によって Poisson 剪定をすることも可能である ZZ (Affine bound)

同じ上界を用いたサブサンプリング ZZ-SSZZ-CV も考えられる.

3.4 性能比較

ロジスティック回帰のサブサンプリングによる ESS の比較

3.5 有効サンプル数について

Zig-Zag 過程 (Z_t)_{t\in[0,T]} から B 個のサンプル X_1,\cdots,X_B を生成して,関数 h\in\mathcal{L}^2(\pi) の期待値 \displaystyle(\pi|h)=\int_0^Th(x)\,\pi(dx) を推定したとする.この際 \widehat{\operatorname{ESS}}:=T\frac{\widehat{\mathrm{V}_\pi[h]}}{\widehat{\sigma^2_h}} \widehat{\mathrm{V}_\pi[h]}:=\frac{1}{T}\int^T_0h(X_s)^2\,ds-\left(\frac{1}{T}\int^T_0h(X_s)\,ds\right)^2, \widehat{\sigma^2_h}:=\frac{1}{B-1}\sum_{i=1}^B(Y_i-\overline{Y})^2,\qquad Y_i:=\sqrt{\frac{B}{T}}\int^{\frac{iT}{B}}_{\frac{(i-1)T}{B}}h(X_s)\,ds. によって推定できる.

3.6 ロジスティック回帰における「大規模不均衡データ」の問題

ロジスティック回帰において, \sum_{j=1}^ny^j\ll n が成り立つ状況下では,Pólya-Gamma 複合に基づく Gibbs サンプラーの収束が,n\to\infty の極限で際限なく遅くなる.

これは事後分布が最頻値の周りに集中する速度が,不均衡な n\to\infty 極限では変化するためである.

3.7 「大規模不均衡データ」に対する Gibbs サンプラーの失敗

自己相関関数の比較(ランダムウォーク・メトロポリス vs Gibbs サンプラー)

3.8 「大規模不均衡データ」に対する Gibbs サンプラーの失敗

サンプラーの動きと事後分布(ランダムウォーク・メトロポリスの場合)

3.9 「大規模不均衡データ」に対する Gibbs サンプラーの失敗

サンプラーの動きと事後分布(Pólya-Gamma 複合に基づくGibbs サンプラーの場合)

3.10 不均衡極限では測度の集中レートが違う (Johndrow et al., 2019)

通常の極限 不均衡極限
事後分布 n^{-1/2} (\log n)^{-1}
提案分布 n^{-1/2} n^{-1/2}

\sum_{i=1}^ny^i=1,\qquad n\to\infty, の「不均衡極限」または Infinitely Imbalanced Limit (Owen, 2007) において,集中のオーダーが変わってしまう.

3.11 事後分布の集中不足の影響

  • Pólya-Gamma 複合に基づく Gibbs サンプラー

    提案のステップサイズが,事後分布のスケールに比べて小さすぎる.

  • 制御変数に基づく Zig-Zag サンプラー (ZZ-CV)

    レート関数 m_i の上界 M_i の評価がズレることで効率が下がっていく.

後者は単に M_i の設計不良の問題で,挽回可能!3

3.12 重点サブサンプリング (Sen et al., 2020)

一様でないサブサンプリング を導入することで,Zig-Zag サンプラーを不均衡データにも強くできる.(そもそも汎用的な効率化手法である.)

サブサンプリングによりランダム化された強度関数 m_i^K(t)=\biggr(\theta_iE^K_i(x+\theta t)\biggl)_+ は,真の勾配 \partial_iU(\xi) に対する不偏性 \mathbb{E}\biggl[E^K_i(\xi)\biggr]=\partial_iU(\xi) を満たす限り,一様なサブサンプリング K\sim\mathrm{U}([n]) に限る必要はなかったのである.

3.13 重点サブサンプリング (Sen et al., 2020)

(p_x) をある [n] 上の分布 \nu\in\mathcal{P}([n]) の質量関数として E^j_i(\xi):=\frac{1}{p_j}\partial_iU^j(\xi)\qquad j\in[n] と定めると, \partial_iU(\xi)=\sum_{j=1}^np_jE_i^j(\xi)=\mathbb{E}[E_i^J]. このリスケーリングした勾配の推定量 E_i^1,\cdots,E_i^n に対して,大域的な上界は \lvert E_i^j(\xi)\rvert\le\max_{j\in[n]}\frac{\lvert x_i^j\rvert}{p_j} に変わる.以前の評価 \displaystyle\partial_iU^j\le n\max_{j\in[n]}\lvert x^j_i\rvert (3.2) は,p_j\equiv1/n の場合に当たる.

3.14 重点サブサンプリング (Sen et al., 2020)

この一般化により, \lvert E_i^j(\xi)\rvert\le\max_{j\in[n]}\frac{\lvert x_i^j\rvert}{p_j} の右辺を確率分布 \nu=(p_j)\in\mathcal{P}([n]) に関して最適化することで,ZZ-SS よりタイトな上界を得る.具体的には p_j\,\propto\,\lvert x^j_i\rvert と取れば良い (ZZ-IS).

3.15 性能比較(通常のデータの場合)

新たに追加された ZZ-IS(重点サブサンプリング)は緑色の線.

3.16 「大規模不均衡データ」に対する Zig-Zag サンプラー

\xi_0=1 を真値とし,次のように生成した1次元データを考える: X^j\overset{\text{iid}}{\sim}(1-\alpha)\delta_0+\alpha\mathrm{N}(1,2), \mathbb{P}[Y^j=1]=\frac{1}{1+e^{-X^j}}.

予想
  • \alpha が小さくなるにつれて,ZZ-CV の効率は悪化する
  • ZZ-IS は重要なデータにうまく注目することで効率悪化を防げる

3.17 「大規模不均衡データ」に対する Zig-Zag サンプラー

左にいく(\alpha が小さい)ほどスパース性は大きい.ZZ-CV は性能が下がるが,ZZ-IS では逆に上がっている.n=1000

\alpha が小さい領域で ZZ-IS の効率が上がっていることは,\partial_iV^j_i(\xi)=0 の場合は上界も 0 になり,そもそも提案もされないため,スパースになるほど効率が上がるためだと思われる.

4 ダイナミクスとエルゴード性

拡散様の振る舞い (diffusive behaviour) がないために,従来法より収束レートが改善する.

4.1 Zig-Zag サンプラーがうまく行った理由

従来法に比べ,

  1. 確定的な動きが対称性を壊す

    状態空間のより効率的な探索が可能.

  2. バイアスのない部分サンプリングが可能

    p そのものではなく,\partial_i\log p の値のみ使うため.

    効率的な Poisson 剪定アルゴリズムさえ見つかれば,(理論的には)どんな U=-\log\pi に対しても効率的な実行が可能

2を今まで詳しく見てきた.本節では1を考察する.

4.2 連続かつ非対称なダイナミクス

対象分布:標準 Cauchy 分布 f(x)=\frac{1}{\pi\sigma}\frac{1}{1+\left(\frac{x-\mu}{\sigma}\right)^2}

Zig-Zag サンプラー (Bierkens et al., 2018)

Metropolis-adjusted Langevin Algorithm (Roberts and Tweedie, 1996)

4.3 忘却:エルゴード性の必要条件

忘却=スタート地点をすぐに忘れるかどうか: \|P^t(x,-)-P^t(y,-)\|_\mathrm{TV}\xrightarrow{t\to\infty}0.

Zig-Zag サンプラー (Bierkens et al., 2018)

Metropolis-adjusted Langevin Algorithm (Roberts and Tweedie, 1996)

Diffusive Behaviour

4.4 t-分布に対する収束レート

自由度 \nut-分布 \mathrm{t}(\nu) に対して,

  • Zig-Zag Sampler (Giorgos Vasdekis and Roberts, 2022) \left\|P^t\left((x,\theta),-\right)-\mathrm{t}(\nu)\right\|_\mathrm{TV}\le\frac{C_1V_1(x)}{t^k},\qquad k<\nu.

  • Metropolis-adjusted Langevin Algorithm (Jarner and Tweedie, 2003) \left\|P^t\left(x,-\right)-\mathrm{t}(\nu)\right\|_\mathrm{TV}\le\frac{C_2V_2(x)}{t^k},\qquad k<\frac{\nu}{2}. 参考:\mathrm{t}(\nu)\Rightarrow\mathrm{N}(0,1)\;(\nu\to\infty)

4.5 Zig-Zag 過程の特徴付け

状態空間を E'=\bigcup_{\theta\in\{\pm1\}^d}\mathbb{R}^d\times\{\theta\} と取ると,Zig-Zag 過程のジャンプは,レート関数 \lambda(x,\theta):=\sum_{i=1}^d\lambda_i(x,\theta) が定める強度 M(t):=\lambda(x+t\theta,\theta) を持った \mathbb{R}_+ 上の非一様 Poisson 点過程に従う.

この E' 上の点過程上で,次の確率核 Q に従ってジャンプするとみれる: Q((x,\theta),-):=\sum_{i=1}^d\frac{\lambda_i(x,\theta)}{\lambda(x,\theta)}\delta_{(x,F_i(\theta))}(-)

Zig-Zag 過程に対する2つの定義を与えたが,これら2つが同分布の過程を定めることは証明が必要である.

まず,\min_{i\in[d]}T_i が,強度関数 M が定める到着時刻に同分布であることを示す.

T_i の密度は p_i(t)=m_i(t)e^{-M_i(t)}1_{(0,\infty)}(t) で与えられ,T_i は互いに独立だから,(T_1,\cdots,T_d) の結合密度もわかる.

T_1,\cdots,T_d を昇順に並べた順序統計量を T_{(1)}\le\cdots\le T_{(d)} で表すとする.この d 次元確率ベクトルの密度 p は, p(t_1,\cdots,t_d)=1_{\left\{t_1\le\cdots\le t_d\right\}}(t_1,\cdots,t_d)\left(\sum_{\sigma\in\mathfrak{S}_d}\prod_{i=1}^dm_i(t_{\sigma(i)})e^{-M_i(t_{\sigma(i)})}\right) と計算できる.

この pt_2,\cdots,t_d に関して積分することで,T_1 の密度が得られる:4 \begin{align*} p_{(1)}(t)&=\int_{(0,\infty)^{d-1}}p(t_1,\cdots,t_d)\,dt_2\cdots dt_d\\ &=\biggr(\sum_{i=1}^dm_i(t_1)\biggl)\exp\left(-\sum_{i=1}^dM_i(t_1)\right)=m(t_1)e^{-M(t_1)}. \end{align*}

これは確かに,強度関数 m が定める到着時刻の密度である.

続いて,j=\operatorname*{argmin}_{i\in[d]}T_i の,\min_{i\in[d]}T_i に関する条件付き確率質量関数が q(i|t)=\frac{m_i(t)}{\sum_{i=1}^dm_i(t)} であることを示す.

そのためには,任意の i\in[d]A\in\mathcal{B}(\mathbb{R}^+) とに関して \left\{T_{(1)}\in A,T_{(1)}=T_i\right\} という形の事象を計算し,密度が積の形で与えられることを見れば良い.

\begin{align*} &\qquad\operatorname{P}[T_{(1)}\in A,T_{(1)}=T_i]\\ &=\operatorname{P}[T_i\in A,\forall_{j\ne i}\;T_i\le T_j]\\ &=\int_Ap_i(t_i)\,dt_i\left(\sum_{\sigma\in\mathrm{Aut}([d]\setminus\{i\})}\int^\infty_{t_i}p_{\sigma(1)}(t_{\sigma(1)})\,dt_{\sigma(1)}\int^\infty_{t_{\sigma(1)}}p_{\sigma(2)}(t_{\sigma(2)})\,dt_{\sigma(2)}\cdots\int^\infty_{t_{\sigma(d-1)}}p_{\sigma(d)}(t_{\sigma(d)})\,dt_{\sigma(d)}\right)\\ &=\int_Am_i(t_i)\exp\left(-\sum_{i=1}^dm_i(t_i)\right)\,dt_i\\ &=\int_A\frac{m_i(t_i)}{m(t_i)}m(t_i)e^{-M(t_i)}\,dt_i. \end{align*}

よって,\min_{i\in[d]}T_i\operatorname*{argmin}_{i\in[d]}T_i とに関する結合密度は,5 q(i|t)p_{(1)}(t) という積の形で与えられることがわかった.

まとめ
  1. 前述の定義は,\min_{i\in[d]}T_i の形で密度 p_{(1)} からシミュレーションし,\operatorname*{argmin}_{i\in[d]}T_i の形で q からシミュレーションしている.
  2. 後述の定義は,p_{(1)}(t) から直接シミュレーションし,再び q(i|t) から直接シミュレーションをする.

1が2に等価であることがわかった.

4.6 数学的な見通しの良さ

  • 運動:速度 \theta\in\{\pm1\}^d による等速直線運動.
  • ジャンプ:E'=\bigcup_{\theta\in\{\pm1\}^d}\mathbb{R}^d\times\{\theta\} 上の Q-付印 された非一様 Poisson 点過程.

この定式化の下では,(Davis, 1993) により 拡張生成作用素の形 が一般的な設定で調べられている:C^1(E)\subset\mathcal{D}(\widehat{L}) かつ \widehat{L}f(x,\theta)=\theta\cdot D_xf(x,\theta)+\lambda(x,\theta)\biggr(f(x,-\theta)-f(x,\theta)\biggl).

拡散項がジャンプ項になっただけで,従来の MCMC の解析に用いたエルゴード定理がそのまま使える.

4.7 指数エルゴード性

U\in C^3(\mathbb{R}^d) は次を満たすとする:

  1. \displaystyle\lim_{\lvert x\rvert\to\infty}\frac{\lvert D^2U(x)\rvert\lor1}{\lvert DU(x)\rvert}=0,\qquad\lim_{\lvert x\rvert\to\infty}\frac{\lvert DU(x)\rvert}{U(x)}=0.
  2. \gamma_1,\cdots,\gamma_d は有界である.

このとき,Zig-Zag 過程は指数エルゴード性を持つ: \left\|P^t((x,\theta),-)-\pi\right\|_\mathrm{TV}\le V(x,\theta)e^{-ct},\qquad t\ge0,(x,\theta)\in E.

\pi の分布の裾が指数よりも重い場合などは条件1を満たさない.
例 : \displaystyle\qquad\quad U(x)=x^\alpha\qquad(0<\alpha<1)

4.8 対象分布の裾が重いと指数エルゴード性が破れる

命題(確率測度の差の全変動の表示)

任意の可測空間 (E,\mathcal{E}) 上の任意の確率測度 \mu,\nu\in\mathcal{P}(E) について, \|\mu-\nu\|_\mathrm{TV}=2\max_{A\in\mathcal{E}}\biggr(\mu(A)-\nu(A)\biggl).

たとえば A を半径 t\sqrt{d} の閉球 B_{t\sqrt{d}} の補集合 B_{t\sqrt{d}}^\complement と取ると,時刻 tB_{t\sqrt{d}}^\complement に到着する確率は 0 だから, \left\|P^t\left((x,\theta),-\right)-\pi\right\|_\mathrm{TV}\ge\pi(B_{t\sqrt{d}}^\complement),\qquad t\ge0. \pi の裾確率が指数よりも遅い場合,これは指数エルゴード性に矛盾する.

5 まとめと展望

  1. ダイナミクス
    多様な動きを取り入れることで,高次元における収束を加速する

  2. シミュレーション
    Poisson 剪定さえ効率的に出来れば実行可能
    一般的な処方箋を求める方向に研究が進んでいる

参考文献

スライドとコード
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関連ページ

Footnotes

  1. 実は同じ条件の下で,多項式エルゴード性が示せる(第 4 節参照).↩︎

  2. Pseudo-marginal Metropolis-Hastings (Andrieu and Roberts, 2009) など.↩︎

  3. 最初から Zig-Zag サンプラーでは上界 M_i の設計が永遠の課題.↩︎

  4. 計算過程は省略したが,d=2 の場合と,d=3 の場合を少しやってみると良い.↩︎

  5. 参照測度は,[d] 上のものは計数測度 \# をとっている.↩︎

Citation

BibTeX citation:
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  author = {, 司馬博文},
  title = {Zig-Zag {サンプラー}},
  date = {2024-07-25},
  url = {https://162348.github.io/posts/2024/Slides/ZigZagSampler.html},
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  abstract = {本郷キャンパス小島ホール第二セミナー室.
    スライドは{[}こちら{]}(https://162348.github.io/posts/2024/Computation/ZigZagSampler\_Slides.html).}
}
For attribution, please cite this work as:
司馬博文. (2024, July). Zig-Zag サンプラー. ベイズ会(本郷キャンパス小島ホール第二セミナー室).