次節 3.4 では を によって上下から評価することで,数学的に厳密な証明を与える.ここでは,本ベイズモデルをランダムエネルギーモデルとみなし,レプリカ法によって計算した場合の証明の概略を付す.
個のレプリカを複製した際の,それぞれの配置 について足し合わせることで, の disorder average を取る.
最終的に次の表示を得る: ただし, は磁化のベクトル, は overlap matrix と呼ばれる.
積分はこの の全体について実行され,同じ の値を取る配置の数を と表した.
の極限では,式 (3) に対して Laplace 近似を実行すれば良い.
従って, の構造のうち,特に支配的なものの特定に成功すれば,解が求まることになる.
最初の仮定として,レプリカ は交換可能で見分けがつかないはずだろう,という replica symmetric ansatz が考えられる.
このレプリカ対称性を仮定すると,次の3通りまでシナリオが絞られる:
任意のレプリカは同一の状態にある:.だが,正しいレプリカではない .
このとき, となり,,かつ .
これは の極限で に関して線型ではなく,物理的な解が得られるとは思えず,レプリカ法も解析接続に失敗する.
任意のレプリカは全て正しい状態にある:.
となり,.
レプリカ内に少なくとも2つの違う状態がある:
このとき,.
2と3の場合から,次の2つが解の候補として回収できた:
この2つは,次節 3.4 から導かれる厳密な結果に一致する.
最後,自由エネルギーの に関する凸性と解析性から,結論を得る.