A Blog Entry on Bayesian Computation by an Applied Mathematician
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1 はじめに
Zig-Zag サンプラーなどの PDMP サンプラーは \(\mathbb{R}^d\) またはその領域上の確率分布からサンプリングするための,連続時間アルゴリズムである.
一方でこれらのサンプラーは離散空間上では使えない.
その際は連続時間で動く PDMP と,Metropolis-Hastings 法などの従来の MCMC 手法を統合して動かす必要がある.
このように離散空間と連続空間の合併上で動くサンプラー(の一部)を (Tierney, 1994) は hybrid サンプラーと呼んでいる.
しかしこの名前は hybrid Monte Carlo (Duane et al., 1987) と紛らわしいから,(Green, 1995, p. 714) から “traverse” sampler とここでは呼ぶことにする.
(Sachs et al., 2023) は Zig-Zag サンプラーともう1つの離散時間 MCMC を,Gibbs 様の考え方で組み合わせた GZZ (Gibbs Zig-Zag) サンプラーを提案した(第 2 節).
一方で (Hardcastle et al., 2024) では,旧来は点過程からのサンプリングに用いられていた技術であった Birth-Death 過程を用いて統合する方法が提案されている.
2 Gibbs Zig-Zag サンプラー
2.1 はじめに
\(\zeta\in\mathbb{R}^d\) からのサンプリングを, \[ \zeta=(\xi,\alpha)\in\mathbb{R}^p\times\mathbb{R}^r,\qquad p+r=d, \] というように分解して考え,\(\xi\in\mathbb{R}^p\) には Zig-Zag サンプラーを適用するが,\(\alpha\in\mathbb{R}^r\) にはしないとする.
このような例は階層モデル \[ X_i\text{i.i.d.}p(x|\xi),\qquad\xi|\alpha\sim p(\xi|\alpha),\qquad\alpha\sim p(\alpha), \] の文脈で自然に現れる.実際,ポテンシャル(負の対数尤度関数)は \[ U(\zeta)=U^0(\xi,\alpha)+\sum_{i=1}^NU^i(\xi), \] \[ U^0(\xi,\alpha)=-\log p(\xi|\alpha)-\log p(\alpha),\qquad U^i(\xi)=-\log p(x_i|\xi), \] と表せる.
2.2 サンプラーの設計
\(\xi\) の Zig-Zag サンプラーの生成作用素を \(L_\xi\) とする.\(\alpha\) からサンプリングをする MCMC の確率核を \(Q\) とし,ある定数 \(\eta>0\) をパラメータにもつ Poisson 点過程が到着するたびに \(Q\) により \(\alpha\) の値を動かすとする.
すると全体としてのサンプラーの生成作用素は次のように表せる: \[ L=L_\xi+\eta L_\alpha, \] \[ L_\alpha f((\xi,\theta),\alpha)=\int_{\mathbb{R}^r}\biggr(f((\xi,\theta),\alpha')-f((\xi,\theta),\alpha)\biggl)Q(\alpha,d\alpha'). \]
3 Traverse サンプラー
3.1 はじめに
(Koskela, 2022) により,任意の可算空間 \(\mathbb{F}\) に対して,\(\mathbb{F}\) と連続空間との合併からサンプリングをするサンプラーが提案されている.